私がビーバーになる時:映画短評
ライター3人の平均評価: 3.7
このひとときだけでも希望を持てる
笑い、優しさ、アクション、すばらしいメッセージに満ちた、ピクサーらしい傑作。設定だけ聞くと「アバター」みたいだが、そこはさっさとせりふで認識し、その後はオリジナルなストーリーに引き込んでいく。女子大生の主人公はピクサーでは珍しいも、この行動力、熱意、反抗心はこの年齢ならではで、共感度抜群。脚本を共著したのが個人的にピクサー作品のベストのひとつである「あの夏のルカ」(こちらは逆に、人間になる物語)のジェシー・アンドリューズというのは超納得。分断された現代、自分と正反対の価値観の人たちにフラストレーションがたまることだらけなだけに、このひとときだけでも希望と可能性を感じられるのは素敵。
モフモフじゃない生き物もいっぱい
もしも動物が何を話しているのか分かったら、という誰もが一度は抱いたことがある願望を叶えてくれるのが本作。それが、哺乳類だけでなく、鳥類、魚類、両生類、さらに昆虫にまで及ぶところがポイント。地球はさまざまな生き物で溢れている。お互いに影響し合っている。そして環境が形成される。子供も楽しいおとぎ話的な物語を語りつつ、そういう世界のありようが描かれる。
森の哺乳類の王はちょっと意外な動物で、ビーバーのキング・ジョージ。彼の性善説な世界観とおおらかな性格は、なるほど王者の風格。彼らの「ビーバーにとって、パーティとは何か」が象徴する価値観にも学ぶところがあるかもしれない。
芳根京子の声優の才能、大きく開花では?
“かわいい系”を予感させつつ、他の生き物との合体に『ザ・フライ』的マッドサイエンス感、肉体の変容に『サブスタンス』のキワモノさも溢れ、その意味で最高! ここまでの奔放さ、マニアックさが、ディズニー本体と違うピクサーらしさだと嬉しく実感。
主人公のキャラはジェンダーの曖昧さを醸し出しながらも「らしさ」を説明的に突っ込まないのが潔い。日系の主人公も貴重で、生活細部に意外な発見が。吹替版の芳根京子は最適な仕事。
ただ、この設定なら「もっと感動できたはず」とも。ラストも含め重要シーンのいくつか、じっくり演出してほしかった。とにかく全編、機関銃のような矢継ぎ早で、近年のハリウッドアニメの過剰さが際立つ。























