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名無し (2026):映画短評

2026年5月22日公開 82分

名無し
(C) 佐藤二朗 永田諒/ヒーローズ (C) 映画『名無し』FILM PARTNERS

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

斉藤 博昭

見方を変えれば「X-MEN」のような物語

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

手にした物体を「消す」ことができる超人能力。子供時代に獲得したその能力を、誰にも気づかせず生きてきた…。主人公は言ってみれば「X-MEN」のようなキャラで、ゆえに過酷な人生を送ってきたこともよくわかる。「絶望」を体現した人間。それを映画で描くチャレンジ精神は評価したいが、無差別殺人へ向かった心の軌跡、モンスターともいえる男の核心、感覚を、佐藤二朗が自らの演技で表現しえたかというと、こころもとない。一般人には“わからない”感覚を伝えようとしたのだろうが、映画を観る側は置いてけぼりを喰らうことに。
丸山隆平の着実な演技アプローチが救いとなるので、彼の役をもう少し大きくしていたら革新作になった気も。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

バイオレンスに彩られた寓話版の『爆弾』

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 無差別殺人という衝撃的な要素は、とっかかりに過ぎない。面白いのは、それを寓話的にとらえていること。

 手にしたものが見えなくなる不思議な右手を持った主人公は包丁で、バットで無差別に殺人を犯す。それは世間から軽んじられている怒りにして、背景にある貧困の象徴のよう。ヒロインが劇中でこぼす重いひと言と相まって、特異な右手ゆえに幸福を得られない主人公の姿が切なく映る。

 原作・脚本兼任の佐藤二郎は『爆弾』とは逆に無口なキャラだが、ここでも“爆弾”に違いない。バイオレンスの権化というべき彼と相対する刑事にふんした佐々木蔵之介の“倫理的ぶっきらぼう”との対比も絶妙。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

城定秀夫監督と作家・佐藤二朗の相性の良さ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

原作・脚本を務める佐藤二朗が今回演じる山田太郎は、『爆弾』のスズキタゴサクに比べ、寡黙ではあるが、その延長線上にあるキャラであり、そこに関しては観客が望むモノが見られる一本だ。最初は何者か分からないMEGUMIの芝居も凄まじく、自然とバイオレンスな世界観に引き込まれる。本作同様、佐藤のこれまでの監督・脚本作(『memo』『はるヲうるひと』)は虐げられた人々を描きながら、どこか観客を選ぶ作りになっていたが、今回は職人監督・城定秀夫に託したこともあり、エンタメ寄りのプログラムピクチャーとして着地。短編小説の読後感など、確実に相性が良いので、今度も2人のタッグ作に期待してしまう。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

笑いを求められていない怖い佐藤二朗の最新形

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

『はるヲうるひと』、『さがす』そして『爆弾』とくる”笑いを求められていない”怖い佐藤二朗の最新版。今作での佐藤二朗は主演だけでなく原作・脚本も務めていて、それを城定秀夫と言う映画職人が絶妙な料理具合でさばき、結果一気に見てしまう一本となりました。主人公の設定や結末についてなどを見る側にゆだねる部分があることに関しては賛否が分かれるとは思いますが、暗い情念を抱えた佐藤二朗が見たい方には素直にお薦めしたい一本です。上映時間90分弱と言うタイトな作りも好印象した。この上映時間なので共演陣まで話を深掘りされ切ってはいないところですが、それでもやはり佐々木蔵之介とMEGUMIは流石の存在感でした。

この短評にはネタバレを含んでいます
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