マーティ・シュプリーム 世界をつかめ (2025):映画短評
ライター3人の平均評価: 4
ティモシー・シャラメが難しい人物像を体現
主人公マーティは、周囲の人々の気持ちなどまったく気にすることなく自分の目的だけを優先させ、機転の早さとその場のノリだけで世の中を渡って周囲を不快にさせ、なのにどこか憎みきれないという、かなり複雑な人物。この人物像に説得力を与えたティモシー・シャラメの演技が、映画賞を賑わせているのも納得。そういう人物がギリギリまで追い込まれ、やっと本当に欲しいものを直視するというストーリーが感動を呼ぶ。
その背景にある、1950年代のニューヨークの街を、落ち着いた色調と湿度を含んだ手触りで映し出す撮影は、名手ダリウス・コンジ。サフディ兄弟監督作の常連、ダニエル・ロパティンの音楽は今回も主張が強い。
ここまで感情移入できないキャラクターも珍しい
アメリカではマイナーだった卓球で頂点を極めようとする男の物語。と書くといかにもスポ根モノのようですが、如何せん主人公のマーティがどうしようもないほど最低な男なために、主人公に一切感情移入することができないという不思議な一本。上映時間が2時間半もあるというところも加えて本来なら途中で見るのを止めたくなる人もいるかと思いますが、そこは流石のティモシー・シャラメ、なぜか憎めない人物に仕上げてきました。やってることは本当に”人としてどうか?”と思う事ばかりなのですが、どういうわけか素直に笑ってしまう自分がいました。賞レース健闘も納得です。
自分本位なキャラを、これほどまで好きになってしまう奇跡
周囲への迷惑なんて考えず、自分のやりたいことに突き進む。その場しのぎのお調子者。近くにいたら超絶ウザいキャラを、ここまで楽しく、愛おしく、魅力的に見せてしまうシャラメに全編で感服。終盤のあるシーンでの表情変化は神がかり的だ。要所で本人の素顔を感じさせるのもスター俳優の証明。
卓球の試合には隠れた映像テクも使われつつ、プレーの動きに説得力があり、曲芸のようなラリーから、おふざけの見せ物まで、観ているこちらのテンションを否応なく上げていく。このあたり、じつに映画的。日本人だからこそわかるネタも豊富。
全体としては無駄に長いエピソードも複数ある。しかしそれらも単体として面白いので、飽きることはない。























