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マーティ・シュプリーム 世界をつかめ (2025):映画短評

2026年3月13日公開 149分

マーティ・シュプリーム 世界をつかめ
(C) Courtesy of A24

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.1

中山 治美

はちゃめちゃ人生を支えたクリエイティブチームの妙

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

モデルがいるとはにわかには信じがたいぶっ飛び人生。その”はちゃめちゃ”を支えたスタッフに賛辞を贈りたい。例えば日本のシーン。海外作品で描かれる日本に違和感を抱くことが多い中、本作は観客役の一人一人まで’50年代の日本を再現。当時と今とでは容姿も立ち居振る舞いも随分と洗練され、日本映画ですら一昔前を描くのは困難だと言うのに。ヘア&メイク、衣装はじめとするクリエイティブチームの精巧な仕事ぶりが成せた技。さらに主人公のライバル役として、これ以上にない説得力を持たせ川口功人選手を起用した審美眼たるや。今年からアカデミー賞ではキャスティング賞が新設され本作もノミネートされたが、それも納得なのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

共感できないが応援してしまう一所懸命なクズ男

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ティモシー・シャラメが映画史上屈指のアンチヒーローを演じる問題作だ。卓球が「子供の遊び」と思われていた’50年代。周囲からバカにされながらも、なにクソ!とばかりに富と名声を掴まんと奮闘する卓球選手の物語…なのだが、実はこの主人公マーティがとんでもないクズ野郎なのですよ。自分の夢を叶えるためなら手段を択ばず、人を騙そうが傷つけようが平気のへっちゃら。どこまでも自己中心的で独善的でプライドが高い。頭の中にあるのは成功することだけ。ここではそんな彼の大暴走を凄まじい熱量で描きつつ、アメリカンドリームの残酷な現実を悲哀たっぷりに浮き彫りとする。それゆえ、マーティに共感できずとも応援したくなるのだ。

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猿渡 由紀

一見クレイジーだが実はとても奥深い

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 弟ベニーと作った映画もだったが、ソロになってもジョシュ・サフディのエネルギーは変わらず。最初から最後まで盛りだくさんかつノンストップで、終わるとどっと疲れる。正直、犬のエピソードなどは削るとすっきりしたかも。奥には戦争から立ち直ろうとしている時代ならではの悲しみ、重荷が潜む。もちろん希望もあり、それを象徴するのがアメリカンドリームを追うマーティと、敗戦国日本の卓球界スター、エンドウ。当時の日本を忠実に描く努力を惜しまなかったサフディには感謝と拍手。エキストラを全員日本生まれの日本人で固めるためにわざわざ日本でロケをしたのだ。シャラメは素晴らしいが、脇のキャストもリアリティ抜群。

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相馬 学

クズにはクズの意地がある!?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 映画が始まってすぐに、シャラメふんする主人公がダメな人である……と多くの観客が気付くだろう。一方で本作には実話という要素もある。つまり、ダメなりに必死で生きた人間の物語。美談を拒否する点が面白い。

 信頼、金、愛、そして自分自身と、次々に失っていく主人公。残ったのは卓球選手としてのプライドだけだった……という物語はユーモア重視ゆえにスポ根の汗臭さとは無縁だ。ひょうひょうとした雰囲気が味。

 1950年代のお話であるものの、80年代の楽曲を積極的に使っているのも“ひょうひょう”の一要素。ティアーズ・フォー・フィアーズの楽曲に始まり、彼らの別のナンバーで終わるセレクトが興味深い。

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平沢 薫

ティモシー・シャラメが難しい人物像を体現

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 主人公マーティは、周囲の人々の気持ちなどまったく気にすることなく自分の目的だけを優先させ、機転の早さとその場のノリだけで世の中を渡って周囲を不快にさせ、なのにどこか憎みきれないという、かなり複雑な人物。この人物像に説得力を与えたティモシー・シャラメの演技が、映画賞を賑わせているのも納得。そういう人物がギリギリまで追い込まれ、やっと本当に欲しいものを直視するというストーリーが感動を呼ぶ。

 その背景にある、1950年代のニューヨークの街を、落ち着いた色調と湿度を含んだ手触りで映し出す撮影は、名手ダリウス・コンジ。サフディ兄弟監督作の常連、ダニエル・ロパティンの音楽は今回も主張が強い。

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村松 健太郎

ここまで感情移入できないキャラクターも珍しい

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

アメリカではマイナーだった卓球で頂点を極めようとする男の物語。と書くといかにもスポ根モノのようですが、如何せん主人公のマーティがどうしようもないほど最低な男なために、主人公に一切感情移入することができないという不思議な一本。上映時間が2時間半もあるというところも加えて本来なら途中で見るのを止めたくなる人もいるかと思いますが、そこは流石のティモシー・シャラメ、なぜか憎めない人物に仕上げてきました。やってることは本当に”人としてどうか?”と思う事ばかりなのですが、どういうわけか素直に笑ってしまう自分がいました。賞レース健闘も納得です。

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斉藤 博昭

自分本位なキャラを、これほどまで好きになってしまう奇跡

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

周囲への迷惑なんて考えず、自分のやりたいことに突き進む。その場しのぎのお調子者。近くにいたら超絶ウザいキャラを、ここまで楽しく、愛おしく、魅力的に見せてしまうシャラメに全編で感服。終盤のあるシーンでの表情変化は神がかり的だ。要所で本人の素顔を感じさせるのもスター俳優の証明。
卓球の試合には隠れた映像テクも使われつつ、プレーの動きに説得力があり、曲芸のようなラリーから、おふざけの見せ物まで、観ているこちらのテンションを否応なく上げていく。このあたり、じつに映画的。日本人だからこそわかるネタも豊富。
全体としては無駄に長いエピソードも複数ある。しかしそれらも単体として面白いので、飽きることはない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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