ブロークン・ヴォイス (2025):映画短評
日常の延長線上に起きた性加害事件の真相
チェコの由緒正しい名門児童合唱団において、約20年間で50人近くもの少女団員たちが、選抜チームを率いる男性指揮者から性暴力を受けていたという実話の映画化。衝撃的な題材だが、しかし本作ではあえてセンセーショナリズムを煽ることなく、なぜそのような事態が長きに渡って続き、なぜ誰も気付いて止めることが出来なかったのかという根本的な要因を、ひとりの少女のケースに焦点を絞りながらじっくりと焙り出す。終盤の「決定的瞬間」へ至るまでほぼ何も起こらず、少女を取り巻く合唱団の日常を淡々と描く地味な映画だが、しかしだからこそ、こういうことが実際に我々の身近で起きてもおかしくないと感じさせるに十分な説得力がある。
この短評にはネタバレを含んでいます





















