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青木柚、高知ロケで不思議体験「誰も拒まない町」

第35回東京国際映画祭

青木柚
青木柚

 NHKドラマ「きれいのくに」や映画『うみべの女の子』などの俳優・青木柚が31日、第35回東京国際映画祭で行われた主演作『はだかのゆめ』(11月25日公開)の質疑応答イベントに登壇し、高知県で撮影された本作について「一度(台本を)読んだだけでは頭が追いつかないこともあった」という不思議な世界観、土地の魅力を振り返った。

【写真】イベントの様子

 2人組バンドBialystocks(ビアリストックス)としても活動し、『EUREKA ユリイカ』の仙頭武則プロデューサーと青山真治監督がプロデュースを務めた『はるねこ』で長編監督デビューを果たした甫木元空(ほきもと・そら)監督の実体験に基づく本作。四国山脈に囲まれた高知県の四万十川のほとりを舞台に、青木演じるノロ、祖父の住む家で余命を送る決意をした母の親子3代にわたる物語が展開する。壇上には甫木元監督と、母役の唯野未歩子、おんちゃん役の前野健太も登壇した。

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 青木は脚本を読んだ際の印象を問われると「ほとんど喋らない、数言しかセリフがないという……。いわゆるいつも自分たちが演じている台本というより、甫木元さんの感じる匂いや音、感覚がそのまま文章にされている感じがしました」と述べる。

 主人公ノロを演じる上で「一度読んだだけでは頭が追いつかないこともあった」というが、「実際に高知に行ってから自分が東京で、高知に行く前にわからなかった曖昧なニュアンスが、不思議とわかるようになっていった」と、ロケ地を訪れたことでの変化を述懐。「言葉が土地の力や空気と結びついていったような感じがありました。高知の土地と雰囲気が(演じた)ノロの人物像を作り上げていってくれた」とも。

 初めて訪れた高知に「誰も拒まない町だなって思いました」と好印象を持ったようで、「歓迎されているかわからないけど“いていいよ”みたいな優しい感じがある土地だなって思ったんです。時間もゆっくりでした。自分が普段仕事をしている東京で感じるような時間とは自然と切り離せるような感覚がありました」と独特の時の流れに魅了された様子。

 本作では死者と生者が混在する不思議な世界が描かれるが、青木いわく「曖昧さがすごく大事」とのこと。「最初に台本を読んだ段階では誰が生きていて誰がそうでないのか、特に答えを聞いていなかった。高知に着いて監督に質問をすると、答えが返ってくることもあればそうでないこともあって、むしろその曖昧さがすごく大事なのかなと思った」

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 その朧ろげな世界観について、甫木元監督は高知県という土地でそういうものを感じながら作っていたと明かし、「高知県は四万十川が暴れ川と言われていたり、沈下する前提の沈下橋があったり、不思議な場所。自然の猛威に抵抗するのではなく、受け入れるような姿勢があり、お遍路というものもある。あの世かこの世かわからないようなものを高知に感じていました」と、高知という土地が作品に与えた影響を口にしていた。(取材・文:名鹿祥史)

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