『パラサイト』だけじゃない!今年注目の韓国映画

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 『パラサイト 半地下の家族』が外国語映画として史上初となるアカデミー賞作品賞を受賞し、韓国映画に熱い視線が集まっています。そこで、今週は今年日本で公開される予定の注目の韓国映画を紹介します。(編集部・吉田唯)

『パラサイト』と並んで話題を席巻!『はちどり』

はちどり
(C) 2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.

 昨年、『パラサイト』と並んで韓国映画界で話題を呼んだ映画『はちどり』が、2020年初夏に公開予定です。

 1994年のソウルに暮らす14歳の少女ウニの揺れ動く思春期を繊細に描きとった本作。まだまだ家父長制が色濃い時代の韓国で育つウニと、その家族の関係性を鮮やかに切り取る食卓のシーンは見事の一言で、過去を舞台にした物語でありながらそこで描かれる“女性に向けられる理不尽さ”は現代とも共鳴するテーマです。

 物語の舞台となった1994年の韓国は、1988年のソウルオリンピック開催を終えて国際的・経済的な発展を遂げていました。一方で、聖水大橋崩落事故や翌年の三豊百貨店崩壊事故など、後年多くの映画・ドラマなどで題材として取り上げられるほど社会に暗い影を落とした大惨事が連続して発生した時代でもあり、キム・ボラ監督はヒロインの成長を描く普遍的な人間ドラマのなかに、そうした社会の雰囲気をしっかりと映しこんでいます。

 アカデミー賞授賞式のスピーチで、ポン・ジュノ監督は「最も個人的なことが、最もクリエイティブなことだ」というマーティン・スコセッシ監督の言葉を引用しました。キム・ボラ監督自身の体験を基にした『はちどり』はまさにそうした作品で、ベルリン国際映画祭ジェネレーション14plusインターナショナル部門でのグランプリ受賞をはじめ、国内外で50冠以上を獲得。韓国の映画専門メディア「シネ21」では2019年の韓国映画として『パラサイト』に次ぐ2位に選出されるなど、2019年を代表する韓国映画の一本です。

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女性が経験する理不尽の数々…ベストセラーの映画化『82年生まれ、キム・ジヨン』

キム・ジヨン
(C) 2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

 『はちどり』でもその息吹を感じ取ることができますが、韓国では近年フェミニズム運動が盛んになってきています。そんななか、女性が生きる上でぶち当たる数々の困難を描いて社会現象にまでなったベストセラー小説「82年生まれ、キム・ジヨン」が2019年に映画化され、大きな注目を浴びました。

 原作小説は、世界中で爆発的な人気を誇るBTSRM少女時代スヨンなど、K-POPアイドルをはじめとする有名人が度々話題にしたことでも視線を集めました。日本でも発売2日目にして重版が決定するほどヒットし、映画も10月9日に公開されます。

 映画では、韓国のジェンダー意識に関わる現代史や社会問題を織り交ぜつつ、主人公の少女時代から出産に至るまでの人生が映し出されます。映画のタイトルにもなっているとおり主人公は“ジヨン”という女性なのですが、この“ジヨン”というのは韓国の1982年生まれの女性で最も多い名前。その名を持つ平凡な主人公が経験する社会の理不尽さは、韓国だけでなく日本にも共通するものです。

 主人公のジヨンを演じたのは映画『家族の誕生』『新感染 ファイナル・エクスプレス』、ドラマ「恋愛の発見」などで知られるチョン・ユミ。その夫デヒョン役は、大ヒットドラマ「コーヒープリンス1号店」「トッケビ ~君がくれた愛しい日々~」などで日本でもファンの多いコン・ユが務めています。二人は『トガニ 幼き瞳の告発』『新感染』に続く3度目のタッグ。これまでの共演でも素晴らしいケミストリーを披露してきましたが、夫婦を演じるのは初とあり期待が高まります。

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みんな大好きマ・ドンソク兄貴!カンヌ上映『悪人伝』

悪人伝
(C) 2019 KIWI MEDIA GROUP. ALL RIGHTS RESERVED

 代表作『犯罪都市』で知られ、マーベル・シネマティック・ユニバースへの参加も決定した人気俳優マ・ドンソクが主演を務める映画『悪人伝』は、2020年夏に公開予定です。

 『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『悪女/AKUJO』といった映画ファンの度肝を抜く作品たちに続いてカンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門で上映され、本国では観客動員数300万人超えのヒットを記録したとあり、作品の品質は折り紙つきです。

 しかも主演は、強靭な腕力でゾンビたちをバッタバッタとなぎ倒していく中年男性を演じた『新感染』で世界から注目を浴びたマ・ドンソク兄貴! 過去には格闘家の個人トレーナーを務めていたこともあり、『悪人伝』でも今にもはち切れそうな屈強な肉体から繰り出されるアクションが見どころとなっています。

 物語は、ある夜ヤクザのボスであるチャン・ドンス(マ・ドンソク)が何者かにめった刺しにされるという血生臭い事件から始まります。その捜査を担当することになったのは、署内でも問題刑事として知られるチョン刑事。奇跡的に命をとりとめたドンスは、チョン刑事と共闘して凶悪犯を追い詰めていき……兄貴がボス役だなんてバイオレンス描写がやばそうなニオイしかしません!

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韓国映画界を代表する演技派タッグ!『君の誕生日』

君の誕生日
(C) 2019 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & NOWFILM & REDPETER FILM & PINEHOUSEFILM. All Rights Reserved.

 カンヌつながりでいえば、“カンヌの女王”の異名を持つチョン・ドヨンが出演した6月5日公開の『君の誕生日』もチェックしておきたい一作です。

 修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲となった2014年のセウォル号沈没事故を取り上げた本作は、この事故で亡くなった息子スホへの恋しさを抱きながら生きる夫婦の物語です。息子がいない現実を認めるようで、スホの誕生日を迎えるのが怖くてたまらない母親。一方、父親はある事情から家族に対して罪悪感を抱えており、そんな二人が悲しみを分かち合うさまを描き出します。

 『ハウスメイド』『シークレット・サンシャイン』で知られるチョン・ドヨンが母親を演じ、父親役は『オアシス』『殺人者の記憶法』『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』などの演技派俳優ソル・ギョングが務めました。二人が共演するのは2001年の『私にも妻がいたらいいのに』以来、18年ぶり。韓国映画界を代表する演技派同士の豪華タッグとあり、わが子を亡くした夫婦の喪失感と愛をどのように表現するのか注目です。

 さらに、メガホンをとったイ・ジョンオン監督は、『バーニング 劇場版』などの巨匠イ・チャンドンのもとで経験を積んだ新鋭です。本作はイ・ジョンオン監督自身がボランティア活動に参加し、長い期間遺族と接するなかで誕生した作品で、製作報告会見では痛ましい事件を取り扱うにあたって「恣意的な解釈が介入していないか、距離感に対して非常に悩みました。一歩引いて、そのままをお見せしたかった」と悩みながら撮影したことを明かしていました。

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『タクシー運転手』脚本家の初監督作!『マルモイ ことばあつめ』

マルモイ
(C) 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

 5月22日には、大切な母国語を守るため辞書作成に奮闘する人々を描いた映画『マルモイ ことばあつめ』が公開されます。

 舞台は1940年代、日本統治下にあった朝鮮半島。名前も日本式に変わり、自分たちの言語から日本語を話すことになっていく時代のなか、学校に通ったことがないため母国語である朝鮮語の読み書きすらできないパンスが、朝鮮語の辞書を作ろうとあらゆることばを集めていたジョンファンと出会い、母国語の大切さに目覚めていく物語です。

 メガホンをとったオム・ユナ監督は、韓国で1,200万人以上を動員したソン・ガンホ主演の大ヒット作『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』の脚本家。『タクシー運転手』では市井の人の視点から、1980年に起きた光州事件を見事に紐解いていきましたが、その手腕が初監督作となる本作でどれほど発揮されているのか気になるところです。

 ダブル主演を務める二人のキャストも豪華。盗みなどで生計を立てていたお調子者のパンスを演じたユ・ヘジンは、『LUCK-KEY/ラッキー』『パイレーツ』『1987、ある闘いの真実』などで知られ、数々の映画賞を受賞している演技派俳優です。親日派の父に秘密で辞書作りに奔走するジョンファン役は、歌手・俳優として人気を集める『犯罪都市』「最高の愛 ~恋はドゥグンドゥグン~」などのユン・ゲサンが務め、失われていく母国語を守ろうとする人の思いを紡ぎ出します。

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国民的女優が14年ぶりに映画復帰!『ブリング・ミー・ホーム(英題)』

ブリング・ミー・ホーム
(c) 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 パク・チャヌクの復讐三部作の最終作『親切なクムジャさん』(2005)で強烈なインパクトを残したイ・ヨンエが、14年ぶりにスクリーンに復帰した映画『ブリング・ミー・ホーム(英題)』は9月公開予定です。

 イ・ヨンエといえば、ドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」や映画『JSA』『親切なクムジャさん』などで知られる韓国の国民的女優。2009年に結婚、その後出産・子育てのため芸能活動を休止していた時期もあった彼女が、『ブリング・ミー・ホーム(英題)』では失踪した息子を捜し続ける母親役に挑みました。

 映画は、母親が6年前に失踪した息子を見たという連絡を受けたことから始まるスリラーです。イ・ヨンエは母親の強さだけでなく、息子の失踪に対する抑えきれない悲しみも繊細に演じ切り、ブランクなどまったく感じさせない姿を披露。トロント国際映画祭で上映された際には「予測不能な仕掛けに満ち、巧妙に練られた脚本! 観客はシートで微動だに出来ない!」と高い評価を得ました。

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