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すさまじい完成度のマーベル映画!『エターナルズ』など11月の5つ星映画

今月の5つ星

 深夜ドラマの劇場版からオスカー監督が手掛けたマーベル映画、ベストセラー恋愛小説の映画化作品、見た目にもおいしいドキュメンタリー、そして泣けるミュージカルまで、見逃し厳禁の作品をピックアップ。これが11月の5つ星映画5作品だ!

こんなご時世だからこそ愛おしい恋人たち

劇場版 きのう何食べた?』11月3日公開

 今や国民的カップルとなった、料理上手で倹約家の弁護士シロさん(西島秀俊)と人当たりのいい美容師ケンジ(内野聖陽)。よしながふみの漫画に基づく大ヒット深夜ドラマの劇場版は、原作8巻に登場する京都旅行から始まる。

 連ドラ版は現実主義で同性愛者であることを人に知られたくないシロさんと、ロマンチストでオープンなケンジの悲喜こもごもが描かれたが、劇場版では、二人の関係が一歩前進した物語が見られる。ドラマの最終回では、両親に紹介してくれたシロさんにケンジは「死んでもいい」と幸福の絶頂にいたが、そんな2人が恋人から家族になるにはどんな問題があるのか。ちょっとした「誤解」からまるでこの世の終わりのように取り乱す二人の姿は、人とのつながりの尊さを実感する今だからこそ愛おしい。もう一組のカップル、小日向(山本耕史)とジルベールこと航(磯村勇斗)も物語の起爆剤としての役割を担い、円熟味を増したアンサンブルを楽しめる。(編集部・石井百合子)

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オスカー監督による唯一無二のマーベルヒーロー神話

エターナルズ』11月5日公開

 『ノマドランド』でアカデミー賞監督賞を獲得したクロエ・ジャオ監督が手掛けたマーベル映画は、古来より人類の進化を見守るヒーローチームの物語。『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界に脅威が迫る時、正体を隠して社会に溶け込んでいたエターナルズが再び立ち上がる。

 コミックスの設定を踏襲しつつ、多様性を重視したマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ならではの解釈で描かれるエターナルズは、誰一人埋もれることなく存在感を発揮する。特にアンジェリーナ・ジョリー演じるセナとマ・ドンソクふんするギルガメッシュはハマり役で、二人の固い友情にもシビれる。また、ジャオ監督作に見られる情緒あふれる映像美はマーベル映画との相性抜群で、作品が持つ神話性をより一層引き立てる。シーン構成や音楽も美しく、MCU作品の中でも類を見ない完成度だ。宇宙規模の問題を扱うエターナルズの登場で、MCUフェーズ4は新たな局面を迎えた。(編集部・倉本拓弥)

心の大事な部分にある忘れられない恋の記憶

ボクたちはみんな大人になれなかった』11月5日公開

 燃え殻のベストセラー恋愛小説を映画化した本作は、バブル崩壊後の1990年代からコロナ禍の現在までの時代の変化と共に、主人公のボク=佐藤の恋愛と友情を映し出す。

 ドラマ「恋のツキ」で繊細かつリアルに恋愛を描いた森義仁監督らしく、本作でも細やかな心理描写が光る。大好きな彼女が“普通”を嫌うため、特別な存在になって認められようとしたり、彼女を失ってからも忘れられないでいる佐藤の切ない思いが、グサリと胸に刺さる。そんな佐藤の21歳~46歳という年齢の変化を森山未來は見事に演じきり、脇を固める伊藤沙莉SUMIREといったキャスティングもハマっている。劇中登場する文通やポケベル、シネマライズといった数々の小道具やサブカルチャーも時代の変化に観客を没入させる役割を担い、ノスタルジックな思いを誘う。果たして普通とは? 大人とは? さまざまな思いが胸によぎり、味わい深い余韻を残す一本だ。(編集部・吉田唯)

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難民の波瀾万丈人生が伝える希望のメッセージ

ドーナツキング』11月12日公開

 日本人には驚きかもしれないが、現在カリフォルニア州におけるドーナツ店の90%以上は、カンボジア系アメリカ人が経営しているという。『ドーナツキング』は、その基礎を作り「ドーナツ王」の異名を取るカンボジア系移民、テッド・ノイ氏の半生を追うドキュメンタリーだ。

 ポル・ポト政権下の虐殺から逃れ、アメリカでドーナツに魅せられた難民の物語はとにかくスリリングで波乱万丈。『スカーフェイス』並みの成り上がり体験から思わぬ落とし穴まで、ノイ氏の映画顔負けな体験談から目が離せない。決して聖人君子というわけではないノイ氏だが、移民の国・アメリカで彼が残した物語は、世界で増加している難民の受け入れ問題に前向きなメッセージを投げかける。もちろん、見た目にもおいしいドーナツも次々と登場。アメリカにおけるドーナツ事情も知ることができて二度おいしい。(編集部・入倉功一)

みんなの思いの代弁者、エヴァン・ハンセン

ディア・エヴァン・ハンセン』11月26日公開

 トニー賞やグラミー賞を受賞した同名ブロードウェイミュージカルを映画化。孤独な高校生エヴァン・ハンセンは、ある手紙と“思いやりの嘘”によって、人生が大きく変化することになる。

 ミュージカル版と同じくエヴァンを演じるベン・プラットの歌声は、まさに唯一無二の不思議な存在感を放っている。映画の冒頭、エヴァンが自身の不安な胸の内を歌うシーンは、ベンの繊細で透明感のある第一声で一気に物語に引きこまれていく。エヴァンは日々、孤独や不安、そして本当の自分との葛藤など、多くの悩みを抱えているが、それは誰もが少なからず感じていることで、エヴァンはそんな思いを代弁しているかのような存在だ。コロナ禍において、人との距離感や生活様式が変わった今だからこそ、作品に込められた「ひとりではない」というメッセージが、他人事ではなく真っすぐ心に刺さる。(編集部・香取亜希)

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