シネマトゥデイ

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シネコン時代のJ・ヒューズ、大林、C・クロウ

  • 陽だまりの彼女
    ★★★★

    『ソラニン』『僕等がいた(前篇・後篇)』に続き第三作目となる三木孝浩監督は、早くも独自のポジションを築きつつある。それはティーンムービーの範疇に属する甘酸っぱい青春映画の専門職人だ。興行的には全作スマッシュヒットを飛ばしながら、批評側の評価が追いついていないのは、本ジャンルのキモがチープな「お菓子感」にあるからだろう。でも三木監督にはこの路線を貫いて欲しい。彼には、ジョン・ヒューズと大林宣彦から映画を始めました、みたいな筋金入りの趣味性を感じるからだ。

    今作において筆者が惹かれる点は、名盤『ペット・サウンズ』の冒頭を飾るビーチ・ボーイズの名曲「素敵じゃないか」からのインスパイアード・ストーリーになっていること。“駄目な僕”のどん底に突入したブライアン・ウィルソンによる究極の妄想ラブソング。このポップ・ミュージックを介したロマンティシズムはキャメロン・クロウ的と言える。

    ラブ・ファンタジーの表現的主題が「儚い恋の時間をいかに永遠化するか」だとすれば、陳腐さギリギリの綱渡りに巧く成功していると思う。三木監督の次回作は能年玲奈主演の『ホットロード』らしい。今から楽しみだ。

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「週刊プレイボーイ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。

近況: 10月12日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町にて『運命は踊る』18:55の回上映後、脚本家の會川昇さんとトークさせていただきます。BSスターチャンネルの無料放送番組「GO!シアター」、10月は『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』『ガンジスに還る』についてコメントしています。執筆参加した『世界のカルト監督列伝』『鬱な映画』『漫画+映画!』『新世紀ミュージカル映画進化論』『究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10』(いずれも洋泉社)が発売中です。

サイト: http://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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