双子が導く妖しいナルシシズム

このところオゾンは、男2&女1の関係に執着しているようで、『婚約者の友人』『彼は秘密の女ともだち』でも男女の関係を軸にしつつ、彼らしく男同士の愛を妄想的に挿入、あるいは強烈に染み込ませていた。今作で双子役のジェレミー・レニエを、かつて起用した『クリミナル・ラヴァーズ』でも、彼が演じた若者と恋人、森の男との関係に余計な想像を喚起させたように、この関係性はオゾンの大好物なのだろう。今作でもその流れをくんだ妄想的シーンが炸裂するが、「同じ外見の分身を愛でる」という点で強烈なナルシシズムが立ち込める。似た関係性のクローネンバーグ監督の『戦慄の絆』に比べると物語は想定内だが、オゾンらしい妖しさは盤石。