映画らしい上級の構成力。現代に訴求しつつ、過剰すぎないテーマ

小説家をめざすも、当時の性別によるハンデを乗り越えなければいけない。そんな次女ジョーを軸に、強い意志を貫く末っ子のエイミーも際立たせ、しかも女性監督のガーウィグが捉えることで、もしやテーマがあからさまに突出するのか…と思いきや、人間の強さの裏に潜む弱さも忘れずに見つめ、包み込むような感覚によって、差別への反発、多様性への訴求が滲んでいく。「押し付けがましくなく」言いたいことを伝えた、見本のような一作。
全体の構成も巧妙に計算されており、前半こそ、時間が無造作に移動しているようで戸惑うものの、構成に慣れてきた後半、この時間の移動が、心地よく美しい感動をもたらす。映画として「上級」のつながり!