【コンペティション部門】好奇心を掻き立てるサスペンス~世界各国、多様なサスペンスの世界

第30回東京国際映画祭

日本からは『最低。』『勝手にふるえてろ』の2本がエントリーしたほか、フランスの人気俳優の監督作や出演作、ジョージアやブルガリアといったなかなかお目にかからないヨーロッパ諸国の作品に、中国やマレーシアなどのアジア作品まで、選りすぐりの15本をご紹介。今年も本部門のプログラミングディレクター・矢田部吉彦氏が全作品の注目ポイントをズバリ解説します!(取材・文:岩永めぐみ/編集部 浅野麗)

<最優秀脚本賞 Presented by WOWOW>テーム・ニッキ『ペット安楽死請負人』

ペット安楽死請負人
(C)It's Alive Films

製作国:フィンランド
監督:テーム・ニッキ
出演:マッティ・オンニスマーハンナマイヤ・ニカンデル

【ストーリー】 表向きは自動車修理工だが、裏では動物の安楽死を請け負う男。彼は無責任な依頼主には苦言を呈しつつも、仕事を冷静にこなす。しかしある犬を生かし、自ら飼い始めたことで事態は一変する。

【矢田部氏のここに注目!】 スリラーなのですが、アクの強い男が主人公で、これはもうハードボイルドと呼びたい。ベレー帽にピアスにパイプという格好は、一度見たら忘れられない風貌です。生と死、それから命というテーマを見つめながら、郊外でくすぶるネオナチといった社会問題も絡み、今の難しい現実をきちんと描いている。最後は二転三転する衝撃の展開が待っています。

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『ザ・ホーム-父が死んだ』

製作国:イラン
監督:アスガー・ユセフィネジャド
出演:ラミン・リアズィモハデセ・ヘイラト

【ストーリー】 父逝去の報せを受け、数年振りの実家に向かう娘。周囲も辟易(へきえき)するほどおおげさに嘆く彼女だったが、父を介護していた従弟と口論になり、近親者が続々と集う中、遺体の扱いを巡って事態は迷走していく……。

【矢田部氏のここに注目!】 近年のイラン映画は、アスガー・ファルハディ監督が源流だと考えられる会話の応酬から家族の物語が展開していく傾向があり、この作品もその流れの1本だと思います。お葬式ものは笑いを交えて描くものが多いですが、本作のユーモアも絶妙。80分ほどのあいだ、まったく目が離せません。アスガー・ユセフィネジャド監督の巧さと演出力は素晴らしいですね。

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『グッドランド』

製作国:ルクセンブルグ、ドイツ、ベルギー
監督:ゴヴィンダ・ヴァン・メーレ
出演:フレデリック・ラウヴィッキー・クリープス

【ストーリー】 秋の収穫期、仕事を求め農村にやってきた流れ者の男。彼には秘密があったが、村は男を受け入れ、徐々に馴染むようになる。一方、彼も次第に何かがおかしいと感じ始め、村にも秘密があることに気付く。

【矢田部氏のここに注目!】 農村に働きにやって来た男には秘密があり、やがてその村もおかしいということに気付き始めるところから、だんだん奇妙なスリラーになっていきます。農村を舞台に収穫や労働の歓びが伝わるような楽しさがあって、スリラーや謎解きがあって、最後はデヴィッド・リンチ的な「えっ!?」という展開になる。今年の発見の1本です。

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<最優秀男優賞>ドアン・イーホン/<最優秀芸術貢献賞>『迫り来る嵐』

迫り来る嵐
(C)The Looming Storm

製作国:中国
監督:ドン・ユエ
出演:ドアン・イーホンジャン・イーイェン

【ストーリー】 中国の小さな町にある古い国営工場で警備員をしているユィ・グオウェイは、泥棒検挙で実績を上げていた。ある日、近所で起きた若い女性の連続殺人事件に刑事気取りで首を突っ込み始めた彼は、犠牲者の一人に似ている女性に出会い接近するが……。

【矢田部氏のここに注目!】 経済発展を遂げる1990年代中国で昔ながらの工場の警備をしている主人公が、殺人事件に刑事さながらに首を突っ込むうちに狂気の淵に足を踏み込んでいくお話です。監督のドン・ユエは新人ながら力量を感じさせ、ダイナミックな画面は韓国のポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』を彷彿させます。中国で最も求められる俳優の一人になりつつある、主演のドアン・イーホンも注目です。

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