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ミステリアス・スキン (2004):映画短評

2025年4月25日公開 105分

ミステリアス・スキン
(C) MMIV Mysterious Films, LLC

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

若きJ・ゴードン=レヴィット&B・コーベットの痛みと輝き

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

G・アラキ再評価の波に乗って2004年の傑作がお目見え。日本での劇場公開は初だが、2016年のレインボー・リール東京で上映された際、スコット・ハイムの原作小説『謎めいた肌』(95年)の邦訳が刊行されていた。

主題は少年期に性的虐待にあった男子2人のPTSD。メインの時代設定は91年でハイムの実体験がベースだが、それまでのアラキ映画の内部を批評的に解剖した趣がある。「ティーン・アポカリプス・トリロジー」の顔だった俳優ジェームズ・デュバルが『ドニー・ダーコ』(01年)で兎を演じた事を想い出したが、今こそ刺さる先駆性と同時に、この自壊的なダウナー感は世紀末からゼロ年代を繋ぐ憂鬱な気分の表象だった。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

クィアフィルムの枠を超えて

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 1990年代にクィアフィルムの野心作を連打したG・アラキの、ある意味、分岐点。それまで描いてきた、尖った若者像を主人公たちに重ねつつ、悲痛なバックボーンをもえぐる。

 幼少期に受けた性加害の記憶を消そうとした者と、記憶に殉じようとする者。かたやセックスから離れ、かたやセックスを貪る。彼らの闇は別のものだが、それがつながっている皮肉。心の中に迫るようなクローズアップが、彼らの痛みを如実に物語る。

 性加害が取りざたされる現在の日本で、そのトラウマの深さを知るという意味ではタイムリー。ライドやスロウダイヴなど、アラキ作品ならではのインディーズロックの細やかな配置も光る。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

今の日本でこその衝撃+『ブルータリスト』監督の少年時代の名演

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

21年を経ての劇場公開だが、嫌でも旧ジャニーズ問題が重なり、描かれるテーマの切実さ、生々しさに全身が震える。今の日本で観る価値がさらに大きくなった作品。全体的には少年期のトラウマと、それに向き合う10代の複雑な心理を繊細にリリカルに、ファンタジックに包んだ印象だし、ピュアな友情物語として受け止めることもできるが、つねに鋭利なナイフで突き刺されたような鈍い痛み、哀しみが消えない。
『ブルータリスト』で巨匠の域に達したB・コーベット監督の、俳優時代の初々しい演技に心洗われる。一方でJ・G=レヴィットの娼夫としての身体を張った動き、つかみどころない感情表現に、その後の役とのギャップで目眩をおぼえた。

この短評にはネタバレを含んでいます
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