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ライフ・ウィズ・ミュージック (2021):映画短評

ライフ・ウィズ・ミュージック (2021)

2022年2月25日公開 107分

ライフ・ウィズ・ミュージック
(C) 2020 Pineapple Lasagne Productions, Inc. All Rights Reserved.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

なかざわひでゆき

孤独や痛みを知る人が作った優しい映画

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 人生に絶望した元アルコール依存症の女性ズーが、様々な問題を抱えた隣人たちに支えられながら、重い自閉症を抱えた妹ミュージックを守るために奮起していく。世界的アーティストSiaの映画監督デビュー作。ポップでカラフルでシュールなミュージカル・シーン(妹ミュージックの脳内世界)の魅力もさることながら、殺伐とした世の中だからこそ互いを思いやることが大切、困ったら自分を責めたりせず誰かを頼っていい、というメッセージに救われる観客も多いだろう。それだけに、自閉症患者への対応に関する誤った描写や、健常者が自閉症患者を演じていることなどで強く批判されたのは残念。孤独や痛みを知る人が作った優しい映画だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ミュージシャンSiaが"自分にとっての音楽"を描く

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 この映画は、Siaという一人のミュージシャンが、監督・製作・原案・共同脚本を務め、自分にとって音楽とはどんなものなのかを描いた、ひとつの音楽論として見ることもできるのではないか。映画の中で音楽は、登場人物の感情が大きく揺れたときに、極彩色の空間という形で出現し、その人物を取り込む。その空間では、CGI映像は使われず、鮮やかな色を身に纏った多数の人間たちの身体の動きが、多様な図形を生み出していく。Siaが自分の音楽を視覚化すると、それはこのような形をしているのではないだろうか。ふとした場面に、ミュージシャンでもあるジュリエット・ルイスやヘンリー・ロリンズがチラッと出演しているのもお見逃しなく。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

音楽愛は感じる、が、映画愛はどうか?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ポップスターが映画監督業に進出するケースはこれまでにもあったが、シーアが演出を務めた本作はその最新版。

 ラスト20分でバタバタと風呂敷をたたむ慌ただしい展開は脚本面の難点。それが前半の丁寧な日常描写を崩してしまうのが、もったいない。

 とはいえ音楽や映像には見るべきものがある。ハンディカムでとらえた現実の不安定な揺れと、ミュージカルシークエンスにおける幻想の流麗さとの対比が巧い。人生はままならないが、自分のビジョンを信じて前に進むことを謳った劇中歌の力強さも心に残る。シーアのメッセージととるか、ひとつの娯楽映画ととるか? それ次第で評価はわかれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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