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裸足で鳴らしてみせろ (2021):映画短評

裸足で鳴らしてみせろ (2021)

2022年8月6日公開 128分

裸足で鳴らしてみせろ
(C) 2021 PFFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)/一般社団法人PFF

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

なかざわひでゆき

自分らしく自由に生きることを許されない若者たちの痛みと哀しみ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 父親の経営する小さな廃品回収会社で働く若者・直己は、市民プールで知り合った青年・槙にひと目で心惹かれ、外国旅行に憧れる槙の盲目の養母を励ますべく、古いテープレコーダーに「外国の音」を再現して録音するという「心優しき偽装工作」に協力する。衰退していく日本の田舎。その狭いコミュニティに縛られ、がんじがらめになった主人公たち。外の世界へ羽ばたくことも出来なければ、本当の想いを相手に伝えることも出来ない。生まれ育った環境や家族という本人にはどうしようもない理由で、自分らしく自由に生きることを許されない若者たちの痛みと哀しみを、瑞々しい青春ドラマとして描いた秀作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

触れ合いたい愛の衝動の極限。名作のごとく永遠に残る青春の傷み

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

「音」を探す2人の道程は、やがて彼らそれぞれが人生の標(しるべ)を探す彷徨と重なり、まばゆく細い光で未来が示される。
荒ぶる欲求を相手にぶつけ合う彼ら。その格闘は『恋する女たち』以来の男同士の愛の表現。劇中で言及されるようにウォン・カーウァイの90年代作品、また橋口亮輔監督の初期作の味わいも甦り、もがきながら本能に突き進もうとする運命、孤独の傷みが胸を抉る。ゆえに慈しむように観ていたい時間が多発。
映画として甘い作劇も散見されつつ、数多の名作が重なる結末の余韻がすべてを拭う。
キャストでは、いくつかのシーンで迷いや優しさ、後悔、本能、寂しさを瞬時にミックスさせる諏訪珠理の演技センスに驚嘆した。

この短評にはネタバレを含んでいます
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