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恋のいばら (2023):映画短評

恋のいばら (2023)

2023年1月6日公開 98分

恋のいばら
(C) 2023「恋のいばら」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

今カノと元カノの奇妙な友情

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 お祖母ちゃん(白川和子が好演)想いで心優しい爽やかイケメンの写真家と付き合っている女性のもとへ、理不尽な理由で彼にフラれたという前の恋人が突然現れ、彼のパソコンに保存されている自分たちの「恥ずかしい写真」を削除しようとする。いわば、今カノと元カノの友情と連帯を描いた変化球的なシスターフッド映画。理想的だと思われた彼氏の化けの皮がだんだんと剥がれ落ち、どこか謎めいていた元カノの抱えた秘密が明かされる…あたりまでは想定の範囲内なのだが、そこからの展開は「え!そっち?」という意外性がある。ただ、そのオチを納得させるに十分な説明や伏線が用意されているとは言い難く、いまひとつ不完全燃焼の感は残る。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

城定監督が知る人ぞ知る香港映画をリメイク

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

公開後、主演女優のジリアン・チョンがガチでリベンジポルノの被害に遭ってしまった『ビヨンド・アワ・ケン』のリメイク。18年前に扱ったテーマが通用することに驚きだが、いちばんの脚色ポイントは時代を反映したシスターフッド要素と、「いばら(眠り)姫」から取られたタイトル通り、より寓話要素が濃厚になったこと。そんななか、随所にピンク映画で培われたワンカット撮影やネットリしたラブシーンなどの城定秀夫監督らしい演出が唸る。また、すべての登場人物に優しい目線を注ぐ監督だけに、その後も『AV』『出エジプト記』などで、女性の怖さを描くパン・ホーチョン監督のオリジナルと異なる印象となるのも興味深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

今と昔の恋が繋ぐ不思議な関係

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

今カノと元カノがある事柄から不思議な協力体制を作ることになる恋愛についてだけどラブストーリーではないという摩訶不思議で、それでいてなかなか面白い空気感がクセになる一本。シスターフッドものと言えば何と言っても演者の相性の良さによるところが大きいのですが、松本穂香と玉城ティナの組み合わせが実によく、素敵な化学反応を見せてくれました。こうなると必要なのが”彼氏”がいかに厄介な奴であるかにかかってきますが、渡邊圭祐が好演していて、ヒロインたちの動機も納得させてくれます。しかし、”彼氏”が同じ響きので、個人的に実に居心地が悪かったです。

この短評にはネタバレを含んでいます
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