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べネシアフレニア (2021):映画短評

べネシアフレニア (2021)

2023年4月21日公開 99分

べネシアフレニア
(C) 2021POKEEPSIE FILMS S.L - THE FEAR COLLECTION I A.I.E

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

なかざわひでゆき

これはアレックス・デ・ラ・イグレシア流ジャッロ!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『ハイル・ミュタンテ!/電撃XX作戦』や『気狂いピエロの決闘』のアレックス・デ・ラ・イグレシアの久々の日本ロードショー公開作。舞台はオーバーツーリズムで環境破壊が進む水の都ヴェネチア。住民による観光客の排斥運動が高まる中、バカンスを楽しみに訪れたスペイン人観光客の若者たちが、宮廷道化師の格好をした連続殺人鬼に命を狙われる。'70年代ジャッロ映画のような雰囲気はたまらないし、異国の地で誰も信用できない状況に置かれる設定はヒッチコック映画っぽいし、「今そこにある危機への無関心」を多重的な意味で用いた脚本も巧み。ただ、デ・ラ・イグレシア監督の演出に往時のキレがないのは惜しまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

中世の仮面は、そこにあるだけで禍々しい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 オープニング・タイトルは、イラストもロゴも1960~70年代イタリアの極彩色で血みどろのホラー映画=ジャッロ映画そのままで、これから描くのはジャッロの世界だと宣言。さらに舞台は水の都ベニチアの仮装カーニバル。中世貴族の仮装をした観光客たち、その中を歩き回る謎の道化師や疫病医師。その扮装が史実を踏まえた形なので、雰囲気は重厚かつ豪奢。そこに大量の血が降り注ぐ。特に中世の仮面の造形は禍々しく、あるだけで不気味なのに、それを被ったものが暗闇に佇んでいる。イグレシア監督のホラー映画によくあるやりすぎ感や爆笑感が少々薄いのは、監督が作中の人物の「観光客は美を滅ぼす」という主張に共感しているからか。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ブラックな笑いが肝の観光地ホラー

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

観光客が次々襲われる田舎ホラーならぬ、水の都・ヴェネツィアの水門扉や路地裏も見どころの観光地ホラー。それだけ見れば、イーライ・ロス監督作のようなペラさ(誉め言葉!)を感じるかもしれないが、ガチだと気付かない観光客がスマホで殺人現場を撮りまくる皮肉すぎる描写に、仮面を付けた謎の地下組織の何とも言えない動機、そして微妙すぎるテンポ感などを踏まえれば、完全にデ・ラ・イグレシア監督作だろう。オーバーツーリズムに対するブラックコメディとして着地しているが、1970年代のジャッロ映画をリスペクトした高まるタイトルバックが物語るように、組織の警察との攻防戦など、サスペンスとしても楽しめる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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