雪の花 -ともに在りて-:映画短評
ライター2人の平均評価: 4
対疫病、不屈の人間像に肉迫
苦難を乗り越え、天然痘の予防接種を日本に持ち込んだ町医者の物語。普遍的な人間の美徳を描き続ける小泉堯史監督に、うってつけの題材といえるだろう。
語るを焦らず、ひとつひとつのエピソードを丁寧に積み重ねる構成。福井や京都の四季の移り変わりをとらえることにより、その美しさはもちろん、主人公が目的のために費やした長い時間を詩的に伝えている点も小泉監督らしい妙味。吹雪の山中のシーンがアクセントとして効いている。
主演の松坂桃李は一途や不屈を体現した、まさに堂々たる熱演。その妻を演じる小泉組の芳根京子の存在が、観る側に温かみを与える点もイイ。
人の良心への賛歌
江戸時代、疱瘡の猛威に対して必死に人々を助けようとする町医者の物語。「雨あがる」から「博士の愛した数式」「峠 最後のサムライ」などで人間の良心を信じる気持ちを映画に焼き付け続けてきた小泉堯史監督作品らしく、今回も良心的な人々の願いや努力は険しい道を歩みつつも最終的にはかなえられます。現実世界ではそんなにいい事、いい人たちばかりではないのではとうがってしまうところも無くはないですが、映画は人間の良心への賛歌となっていて、救いを感じます。松坂桃李は時代劇は巧くはまる人なのでこれからも時々やってくれると嬉しいですね。




















