ファンタスティック4:ファースト・ステップ (2025):映画短評
ライター3人の平均評価: 3.3
アメリカの「憧れの時代」こそヒーローの活躍にマッチと再認識
美術や音楽、ファッション、映像質感も含めた「ビジュアル」だけでなく、人々の高揚感、ヒーローへの期待感、そして「世界がひとつになれば危機を乗り越えられる」理想など「スピリット」が1960年代という時代を体現。非現実の設定だけれど、その時代のアメリカへの憧れが、主人公4人の活躍と重なることで冒頭からテンションが上がる。
一方でテンポやアクションのスペクタクル感は現代の作品そのもので、スーパーヒーロー映画としての要件は十分に満たす。妊娠、出産のエピソードも斬新。自由の女神のシーンには、現代アメリカへの皮肉がちらり。ただメインの戦いでは、ツッコミたくなる箇所がいくつか。ゆえに後半、やや落ち着いた印象。
のびのびとした快作
遂にMCUに合流したファンタスティック4。しかし、違うアースの60年代という設定の物語に。結果としてこのチームの持つ古典的な空気感が巧く再現されています。Dr.ドゥームを次のアベンジャーズに回したことでいきなりギャラクタスを出してきました。ギャラクタスがストレートなヴィランではないと言うことやその巨体もあってヒーロー譚というよりモンスター映画を見ているような感じがします。ユニバースのしがらみを気にしなくて良いと言う事でここまで振り切ったのびのびとした映画にできたのでしょう。ヒーローの出自の部分を省いた結果2時間弱のタイトなものに収まったのも好印象です。
どこを切り取っても素敵なビジュアルに魅了される
ほかのスーパーヒーロー映画と大きく差別化するのが、ビジュアルが率いる世界観。架空の60年代のニューヨークを舞台にしたレトロフューチャリスティックな美術、衣装、色彩パレットがとにかく素敵。ここからインテリアやファッションのインスピレーションを得る観客は多そう。センスの良さはキャスティングにも通じ、組み合わせは見た目もパーソナリティ的にも面白く、全員好感が持てる。ストーリーは詰め込みすぎずシンプル。だが、どうしても前に聞いたことがある感が否めず、思いのほか感情が揺さぶられない。今最も興味深い女優のひとり、ジュリア・ガーナーが、表情もニュアンスも制限された役で出ているのがもったいないとも感じる。






















