プレデター:バッドランド (2025):映画短評
ライター5人の平均評価: 3.8
シリーズ新機軸!次は『AVP』以来のクロスオーバー?
プレデターというと、これまでは宇宙の狩人として恐怖の対象であり、もっといえばヴィランだったが、そうではない視点で描いた点が新鮮。
なにしろ主人公が人間ではなくプレデターで(そもそも人間は本作には登場しない)、その中の落ちこぼれという点がイイ。いつの時代も、どの世界にもある若輩者の成長劇。未知の地でバトり続ける点では『ロード・オブ・リング』の変装曲ともいえる。
監督のトラクテンバーグは大のSFオタクで、これがシリーズ3作目の演出となるが、そこに『エイリアン』の設定をさりげなく絡ませてきた。『エイリアンVSプレデター』以来の世界観のクロス。“次”も楽しみになる。
怖さがなくなりビデオゲームを見ているよう
視点を変更し、長年続いてきた人気シリーズに新たな活気を与えた意図は、よくわかる。その結果、トーンと雰囲気ががらりと変わった。アクションはたっぷりで、ユーモアもあり、楽しめはするのだが、なんだかビデオゲームを見させられているような気分。生身の人間が危険にさらされるわけでもなく、プレデターに思い入れをしてもらうよう仕向けているので、もはや怖くないのである。あの恐ろしいモンスターはどこに行ったのか。プレデターのミステリアスさは、すっかりなくなってしまった。奇妙なトリオの旅というのも、ビジュアル的には面白いものの、コンセプトとしてはおなじみ。子供連れでも安心のエンタメ。
あの恐るべき形相に愛着が湧いていく映画のマジック
シェイクスピアか、あるいは「スター・ウォーズ」かと思わせる家族愛憎劇で始まり、プレデターのデクに思い切り感情移入させる作り。目だけでしかわからないはずのデクの気持ちが、予想以上に伝わってくるというマジックが起こる。
どこか頼りなく人間くさいデクに対し、ツンデレなアンドロイドにエル・ファニングがハマリ役で最高に楽しい。何より、舞台となる惑星の奇々怪々な生物&自然にいちいち驚き、感動する。未体験ワールドの見本のようなビジュアル!
シリーズを長年観てきた人は過去作とのリンクにニヤリとし、「エイリアン」近作との密接な繋がりもあるが、そこを無視も可能で、プレデター初心者も入り込みやすい快心の最新作では?
従来の『プレデター』とは別方向に爆進する
あるプレデターの若者が主人公。その相棒は上半身だけの女性型アンドロイド。この設定の斬新さから期待する通り、冒頭から感情が激しく揺さぶられる状況が描かれて、ストーリーの面白さで引っ張っていく。そこに、未知の惑星、正体不明のクリーチャーたち、お馴染みの武器の数々を大量投入。そしてやっぱりサプライズも仕込まれている。
監督は『プレデター:ザ・プレイ』で、まだ植民地化されていない北米大陸を舞台に、先住民の若い女性がプレデターに対峙する物語を描き、『プレデター:最凶頂上決戦』で、その発想を次の段階に進めたダン・トラクテンバーグ。彼はプレデター企画はもう1作あると発言しており、そちらも見たい。
遂に完全主役!
侵略型宇宙生物は数多く映画に登場しましたが、高い知性を感じさせるプレデターは主役になりうる存在だったのでいつかは彼ら視点の物語が作られるだろうと思われていましたが、やっと完成しました。相棒は半壊したアンドロイドで、人間は直接介在せず、プレデターが対峙するのは”バッドランド”のモンスターたちという今までない構図。監督のダン・トラクテンバーグは『ザ・プレイ』『最凶頂上決戦』でフランチャイズを再興した人物で、オリジンに敬意を示しつつもの新しい感覚をシリーズに取り込みました。全編痛快なアクションで構成されている娯楽作として楽しい一本です。























