死霊館 最後の儀式 (2025):映画短評
ライター4人の平均評価: 3.5
恐怖と家族劇を融合させてきたシリーズの美しき終幕
『死霊館』シリーズはホラーであると同時にファミリードラマとしても機能してきた。そのフィナーレを飾る物語として本作は理想的。
ある一家の受難を知り、疲れた心身に鞭打って悪魔に立ち向かうウォーレン夫妻。同時にそれは彼らの家族を救うことでもある。そんなシリーズの基礎を踏まえつつ、夫妻の娘やその婿をも巻き込んで闘いのスケールをアップさせ、なおかつ家族の物語を完結させる点に、シリーズの本質を理解している作り手のこだわりを見た。
1&2作目のJ・ワン監督が製作にまわり、3、4作目のチャベス監督へ……というリレーも、家族的な製作体制が貫かれたことを踏まえると、終幕ともども美しく思えてくる。
「ウォーレン一家、ファイヤー!」な最終章
今ではシリーズのお約束となった、視覚・音響効果をフルに活用したジャンプスケアに、あのときのキャラが再登場するなど、「ファン感謝祭」的なノリも楽しめる最終章。ロバート・マンデル監督作『ホーンテッド・ハウス』のモデルにもなった「スマール家事件」に挑むウォーレン夫妻だが、夫妻の惚気だけでなく、結婚を控えた愛娘ジュディにまつわるエピソードなど、巧くシームレスで力の入った「ウォーレン一家、ファイヤー!」な家族ドラマを挿入。じんわりと胸アツなエンドロールまで、たっぷりシリーズ最長となる135分だが、ホラー要素だけを求める新規だと、ちょっと長尺に感じるのも事実。
見たいと思っているものを見せてくれる
『死霊館』シリーズは、製作陣がこのシリーズの魅力が何かを見定めていて、迷いがない。最終作となる本作でも、ファンが見たいと思っているものを見せてくれる。その根底にあるのは「実話」という設定。だからこのシリーズの怪現象は、見たことがないものではなく、何故かなんとなく知っているもののように現れる。そして現実と同じように、その現象が生じる理由は重要ではなく、その被害からどう逃れるのかが重要になる。その過程で渦中にある家族たちの絆が試される。
シリーズ最終作に相応しく、ずっと見てきたファンへのご褒美として、どこかで見た物や現象があちこちに。特にラスト近くのシーンには嬉しいサプライズが詰まっている。
本当に終わらせに来た
ホラーフランチャイズの”完結篇”ほど信用できないものもない中での”完結篇宣言”の一本。主人公のウォーレン夫妻がものすごい量の心霊事件に関わってきたので、それこそネタ元は無限にあるのだと思いますが、今回はかなり本気に終わらせに来ました。”シスター”や”アナベル”の方では何かを生み出す余白がまだまだあるとは思いますが、本筋の方でここまでしっかり最期を描いてしまうと本当にこれでおしまいになりそうです。最後を家族の物語にするあたりも手堅さを感じます。約12年で正規の作品だけも9本に及ぶユニバースが展開、お見事でした。























