炎上:映画短評
最もヘヴィーな長久允の傑作
長久允の映画はいつも現実の裂け目から異界の風が吹き込む。『そうして私たちはプールに金魚を、』の痛み、『WE ARE LITTLE ZOMBIES』の虚無の祝祭。その延長線上に『炎上』は立ち、さらに深い闇へと踏み込む。森七菜扮するじゅじゅは、三島『金閣寺』(=市川崑『炎上』)の主人公が抱えた世界の美への憎悪と憧憬を現代の路上に引き寄せ、吃音の揺らぎを宿しながらトー横へ身を沈めていく。
この映画ではストリートのざわめきが血流になる。長久監督が一語一句に宿す物語作家の精度と、現場の生々しさが融合し、フィクションは新たな層を生む。じゅじゅの呼吸に同調した我々観る者の胸に、静かな火種を残していくのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます






















