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シンプル・アクシデント/偶然 (2025):映画短評

2026年5月8日公開 103分

シンプル・アクシデント/偶然
(C) LesFilmsPelleas

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

中山 治美

隣人が敵となる緊張と調和

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

何度投獄されても映画を武器に闘うことを止めない。監督の不屈の精神は天晴れの一言だが、体制側からすればこれほど厄介な存在はいないのも頷ける。自身が体験した不当逮捕の実態や拷問の手口を作品に投影し世界に発信するのだから。描かれるのは分断がもたらす悲劇。同じイランの『聖なるイチジクの種』は家族間だったが、本作は地域。敵対していた相手と偶然遭遇してしまう日常。例え争いが終わっても遺恨をどう消化するか。我々は人間力が試される時代にいることを痛感させられる。その中で示される隣人ならではの調和。”公道で車が動かなくなる”シーンで、当たり前のように手を貸す市民たち。ゲリラ撮影が捉えた偶然に希望の光を見るのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

公開時期が今になったことで、別の何かが見えてくる

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

2025年のカンヌで頂点に輝き、日本では1年後の公開だが、アメリカによるイラン攻撃が混沌を極める時期と重なり、作品の意味がより深く、多様化。
基本は「疑心暗鬼」がテーマ。前半は登場人物たちの言い合い、腹の探り合いに妙なコメディ的ノリもあったりと入り込みやすい。しかし体制側による不条理な拷問の事実が全編に横たわり、笑ってはいられない現実に気づかさせる。そこに本作の真の怖さが。
体制への一般市民の怒り。では、その体制を海外が武力で潰したら、本作の人物たちがどんな犠牲を払うのか。そこに「いま観るべき」価値が顔を出す。
劇中には多くの「偶然」が用意され、それが繋がった果てのラストは、ことのほか衝撃的。

この短評にはネタバレを含んでいます
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