私はあなたを知らない、 (2026):映画短評
孤独な青年が掴んだささやかな幸せと悲劇。最適なキャストで
素顔(明るい体育会系)と、演じる役(繊細で苦悩を抱えるパターンが得意)のギャップという意味で、本作の主人公・夕平は、これ以上ないほど坂口健太郎にうってつけ。中野監督の意図どおりの起用が成功の感。
冒頭での目覚めの顔のアップから、ゴム手袋工場でのストイックな仕事ぶり。孤独感を尋常ではないレベルで漂わせ、その孤独が埋まる戸惑い、ささやかな幸せを手に入れた時間の喜びの涙など、ハマリ役での表現を全編で実感させる。
悲劇が前提にあることから、登場人物たちの優しく温かなシーンにも、どことなく哀切が滲むのは中野監督の演出の妙。サスペンスの面では想定どおりなので、ヒューマンドラマとして受け止めるべき作品か。
この短評にはネタバレを含んでいます






















