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ひつじ探偵団 (2026):映画短評

2026年5月8日公開 110分

ひつじ探偵団

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

森 直人

ひつじ版クリスティ

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

えらいよく出来ていてびっくり! 確かにゆるふわな動物ものとは『ベイブ』ばりに一線を画す。ローカルな英国の田舎ののどかな風景の中で、侮れぬ本格ミステリーが展開。いつも群れて内向きで保守的、都合の悪いことは忘れて乗り切る――そんな同質性を強く求めるひつじコミュニティの描写がまず鋭い。

「冬生まれ」の子ひつじには“名前がない”。死ねば「雲になる」という美化された信仰など、差別構造や思考停止の大衆的原像を風刺的に打ち出す。一方、読み聞かせで覚えた推理小説の定番プロットを参照しつつ、謎解きに挑むひつじたちの奮闘はきっちりウェルメイド。人間側も、小さな町で唯一の警察官ティムがポンコツに見えて結構頑張る!

この短評にはネタバレを含んでいます
大山くまお

ほのぼの本格ミステリーにある批評性

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

ひつじの可愛さにとろけているうちに、いつの間にか本格ミステリーに巻き込まれている面白さ。とはいえファミリームービーかと思いきや、ちゃんと批評性もあって、ひつじたちは可愛いだけじゃなく、根拠のない迷信を信じやすく、自分たちのテリトリーから出ることができなくて、悲しいことや辛いことは都合よく忘れようとする。これって今の日本人じゃないか? と思ってみたりするのだが、たぶん元ネタはジョージ・オーウェルの『動物農場』(ひつじたちは流されやすい存在として描かれている)。ほのぼのとした気分になるだけでなく、自分たちはいつまでも「愚かで臆病なひつじ」でいていいのか? と問いかけられている気分になる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

個性豊かな羊たちの活躍が笑えて泣ける

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 緑の牧場でのどかに暮らす羊たちと、冷酷な殺人事件、この意表をつく組合せがナイス。絵本のような美しい光景の中で、ちゃんと理論的な謎解きミステリーが描かれる。羊同士は言葉を交わすが、人間には通じない設定。羊たちはみな個性がありつつ、羊らしい性質も備えていて、擬人化の匙加減が絶妙。期待通りの愉快な笑いをたっぷり盛り込みつつ、予想外の感動まで味わわせてくれる。

 俳優陣もヒュー・ジャックマンにエマ・トンプソンという豪華さだが、声優陣も芸達者揃い。推理が得意な羊はMCUのヴァル役ジュリア・ルイス=ドレイファス、孤高の羊はブライアン・クランストン。パトリック・スチュワートは羊の声でも貫禄たっぷり。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

犯人探しミステリーの伝統を享受し、可愛さだけでは侮れない

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

「ベイブ」など動物おしゃべり映画+アガサ・クリスティ風味の英国ミステリーの、意外なケミストリー。ファミリーエンタメを見せかけながら、羊も人間も、それぞれのキャラクターが鮮やかに描き込まれ、それらが物語でうまく機能している。見くびったら惜しい快作だ。
会話する(もちろん人間にはわからない)羊たちを、変に表情を戯画的にしない節度も好印象。一方で犬vs.羊のバトルアクションがかなり壮絶だったり、見せるべきシーンのメリハリが計算され、飽きさせない。

おそらく現代が舞台なのに、スマホやPCが一切出てこないのも、人間(および羊)が自分の頭だけで考えるというアナログ回帰で、映画全体に温かさと優しさを灯す。

この短評にはネタバレを含んでいます
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