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映画化はいつ!?お家騒動を乗り越えなお、愛され続けるグッチ

映画に見る憧れのブランド

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Porter Gifford / Liaison / Getty Images

 ルイ・ヴィトンに続き、ブランド価値が世界で2番目であるといわれるグッチ。フィレンツェの鞄店から出発したグッチは、波乱万丈のお家騒動を乗り越えてファミリーブランドから世界的なラグジュアリーブランドに成長しました。今回は、グッチのアイコンである3つの製品とそれらが登場する映画、そして、グッチ家の衰退とブランドの再生についてお話したいと思います。

1:戦後の資源不足から開発されたバンブーバッグ(1947年)

 創業者のグッチオ・グッチはフィレンツェの生家を離れて、荷役労働者として働きながらイギリスにやってきました。様々な職を経た後、ロンドンの一流ホテル、サヴォイホテルで働くように。4年間働いて貯金したグッチはフィレンツェに戻り、アンティークショップなどで働いた後に革工芸品の工房に勤め、1921年、とうとうフィレンツェにグッチオ・グッチ鞄店を開きました。

 グッチオはとてもエレガントな男性で、高級なスーツ姿で非の打ち所のない装いをしていたといいます。そんな彼の工房が作る鞄は、高品質なのに手軽な価格が魅力でした。最初は観光客相手だった商売が、やがてギリシャの王女までが顧客リストに名を連ねるように。グッチは職人を非常に大事にし終身雇用を約束していたので、革職人にとって大人気の就職先だったそうです。

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gucci shop
ローマのコンドッティ通り店 - Vittoriano Rastelli / CORBIS / Corbis via Getty Images

 1938年、ブルガリなど最高級品店が立ち並ぶローマのストリートに店を構えます。1947年頃に発売されたバンブーバッグは、当初は革の取っ手がついたものでしたが、第二次世界大戦後の資源不足のため、竹素材を使うようになったのだとか。日本から取り寄せた竹をバーナーの熱で柔らかくして曲げた取っ手、そして、馬具の鞍の形にインスピレーションを受けたバッグのフォルムは、その後、グッチの特徴といえるスポーツラグジュアリーというスタイルを生み出しました。

『イタリア旅行』
映画『イタリア旅行』のイングリッド・バーグマン。その隣に置かれるのがバンブーバッグ。 - Fine Arts Films Inc. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 第二次世界大戦後の1950年代~1970年代は、イタリア映画の全盛期。ハリウッド女優たちもローマに集まり、ローマはスターや上流階級によるお祭り騒ぎが毎日開かれていたそうです。グッチオは、ローマ店に来る映画スターたちにグッチ製品を提供しました。例えば、イングリッド・バーグマン主演作『イタリア旅行』(1953年)では、バーグマンはグッチのバンブーバッグと傘を持ち、結婚の危機を迎えた倦怠期の妻を見事に演じています。

『アメリカン・ハッスル』
映画『アメリカン・ハッスル』でバンブーレディロックを手にするエイミー・アダムス。セクシー! - Columbia Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 映画『アメリカン・ハッスル』(2013年)では、エイミー・アダムス演じる詐欺師シドニー・プロッサーがバンブーレディロックをセクシーな装いと共に披露。これは1994年にトム・フォードがクリエイティブディレクターに就任してから再構築されたグッチの若々しくモダンでセクシーなイメージが反映されています。

2:中流階級の市場を開拓したホースビットローファー(1953年)

 第二次世界大戦後、イタリアはラグジュアリーな革製品やゴールドジュエリーの中心地となりました。グッチは、上流階級やセレブご用達ブランドという地位を確立していましたが、まだまだ中流階級にはとても手が届かないブランド。同時に、アメリカ人のイタリア製品に対する興味が高まっていたことから、創業者グッチオの次男アルドは、1953年にニューヨークでアメリカ初のグッチ店をオープン。アメリカにおけるイタリアンブランドの先駆けとなりました。

 1953年、職人のアイディアでホースビットローファーが開発され、シックでスポーティーなデザインがニューヨーカーの注目を集めます。“ホースビット”とは“馬具のくつわ”の意味で、ローファーの甲についた金具は馬の口にふくませる“くつわ”を、突起した縫い目は鞍などに使われる“サドルステッチ”をモチーフにしたもの。なめした柔らかな革は履き心地が非常によく、しかも手頃な価格でした。ホースビットローファーは中流階級の人々の間でも飛ぶように売れたといいます。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』にも登場しまくりのホースビットローファー! - Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 1990年代のウォール街で荒稼ぎした実在の証券ブローカーを、レオナルド・ディカプリオが熱演した『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)でもこのローファーは登場。やはりグッチは、成功者のスタイルに欠かせないブランドだということなのでしょう。

3:キャリアウーマンに支持されたジャッキーバッグ(1961年)

 1960年代半ばまでにグッチは一流企業に成長し、高品質なラグジュアリーブランドのイメージが定着していました。ジョン・F・ケネディの妻ジャッキーことジャクリーンも、グッチのファン。後にジャッキーバッグとして知られるバッグは、クロージャー金具が丸みのある薬莢のような形をしたプッシュロック式。ジャッキーが頻繁に持ち歩いている姿をパパラッチに撮られたことから、ジャッキーバッグと呼ばれるようになりました。簡単に開け閉めができるこのバッグは、キャリアウーマンの間で大ヒット

ジャッキーバッグ
この留め金が特徴のバッグは後に、ジャクリーン・ケネディにちなんでジャッキーバッグに - Tom Gallagher / NY Daily News Archive via Getty Images / ゲッティ イメージズ

 1994年には、当時のクリエイティブディレクター、トム・フォードが様々な色と素材でジャッキーバッグを復活させ、2009年には、トム・フォードの後を引き継いだフリーダ・ジャンニーニもよりモダンでグラマラスなデザインを加えたニュージャッキーバッグを発表。キャリアウーマンから支持を集めたジャッキーバッグは、時代にあわせて進化するグッチのアイコンなのです。

グッチ家の衰退とブランドの再生

 1921年に創業されたグッチは長らく同族経営でした。創業者グッチオの死後、事業は次男のアルドを中心に運営され、アメリカ市場での成功を経て1970年代には香港や日本へも進出します。その繁栄とは裏腹に、創業者グッチオの息子や孫たちは、それぞれに親会社、子会社、ライセンス契約の所有権をもっていたため、お互いに自分の利益を優先し、反目しあうようになっていました。その結果、商品、価格や品質を管理する力がなくなり、ブランドイメージが崩れてしまいます。

 ブランドイメージの低下と共に、アルドと息子パオロの争いも激化。パオロはなんと、父のアルドを脱税で告発し、アルドは禁固1年の刑に処されることになりました……。こうした混乱の中、グッチオの四男ロドルフォが死去。ロドルフォの息子マウリツィオがグッチの実権を握ります。彼は当時グッチの法律顧問をしていたドメニコ・デ・ソーレをグッチアメリカのCEOとして雇います。デ・ソーレはリストラを断行、ライセンス販売計画を中止し、全米のフランチャイズ店を買い取るなどして、失墜したブランドイメージの回復を目指しました。1994年、デ・ソーレはグッチ本社のCEOに就任、マウリツィオを辞任させ、グッチ家による同族経営は終焉を迎えました。

トム・フォード
グッチを再建したデ・ソーレとトム・フォード - Michel Dufour / WireImage / ゲッティ イメージズ

 同年に、デ・ソーレはクリエイティブディレクターにトム・フォードを任命しました。デ・ソーレとフォードは、革製品の売り上げを上げるために、ファッション分野に力を入れ、プレタポルテコレクションに参加。ピーコックカラーのシャツのボタンを半分あけて、タイトなパンツをはいたセクシーなルックは、90年代を一世風靡しました。

 この新しいグッチウーマン像は、リッチで保守的な年配の女性という従来の顧客層だけではなく、若々しくセクシーな都会の女性という客層にも訴求。また、モデルのように容姿端麗なフォード本人がパブリシティに現れたり、世界中のグッチ店舗のディスプレイを統一したりするなど、グッチのブランドを再生することに成功しました。1994年からの2年間で売り上げは3倍以上に伸びたといいます。

映画化が期待されるグッチ家の悲劇

マウリツィオ・グッチ
殺されたマウリツィオ・グッチ - Erin Combs / Toronto Star via Getty Images / ゲッティ イメージズ

 1995年、マウリツィオがミラノにあるビルの入り口で、謎の男に射殺されてしまいます。捜査は難航し、迷宮入りかと思われた1997年、驚いたことに元妻のパトリツィアが逮捕されました。

 パトリツィアとマウリツィオは1972年にミラノのパーティで出会います。大恋愛の末に結婚した美男美女の夫妻は社交界でひっぱりだこになりました。パトリツィアは、夫よりも気性が激しく野心家、財産目当てに結婚し、マウリツィオにグッチの実権を握らせるために家族と仲たがいをさせたと噂されていました。事実、パトリツィアは「私は、グッチ家の偉大な伝統を引き継ぎたいといつも思ってきたの。『グッチ』の伝統を永遠のものにしたいって」と公に語るほど、グッチを継承したいと望んでいたよう。ですが、グッチ家の崩壊と共に、パトリツィアとマウリツィオは離婚に至ります。

 「夫は本当に弱い性格でした。その背中を、私が押してあげたんです。もし、私がいなかったら、夫はグッチの社長にはなれなかったと思うわ」とパトリツィアが言ったように、自分のおかげで社長になったくせに、幼い子供たちと自分を捨てて他の女性に走った夫をどうしても許せなかったのかもしれません。その上、月々に受け取る約750万円の生活費だけでは暮らしていけないほどの贅沢が身についていました。(中村雅人著『グッチ家 失われたブランド』)

 噂では、その当時イタリアの上流階級で人気だった占い師にそそのかされて、パトリツィアは殺し屋を雇ったといわれています。『ザ・ハウス・オブ・グッチ』の著者であるサラ・ゲイ・フォーデンによると、パトリツィアに26年の有罪判決が出た週、世界中のグッチのウインドウにはシルバーの手錠が飾られたのだとか!

悪女がお似合い!? マーゴット・ロビー - Brook Mitchell / Getty Images

 このグッチ家の崩壊は、これまで何度か映画化の話が出ています。最初は、リドリー・スコット監督によるディカプリオ(マウリツィオ役)とアンジェリーナ・ジョリー(パトリツィア役)のキャスト。2016年には、スコット監督ではなく、香港の巨匠ウォン・カーウァイが監督をするというニュースが出回りました。パトリツィア役にはマーゴット・ロビーが起用されるという話も。

 『シングルマン』(2009年)や『ノクターナル・アニマルズ』(2017年)で映画監督としての才能を見せ付けたトム・フォードに監督してもらうのもおもしろいですよね!? もしくは、本人役で俳優デビューするとか……。

 家族の絆で栄え、成長したきたグッチ。一族の没落を乗り越えてなお、グッチが愛される理由はどこにあるのでしょうか? 普段着感覚でラグジュアリーなものを着るというイタリアの美意識が、その答えだと長沢伸也氏は著書『グッチの戦略』の中で指摘します。近所に買い物へ出かけるときでもオシャレして日常を目一杯楽しむようにする、というのがイタリア流ラグジュアリー

 フィレンツェの職人技術による最高級品質を保ちながら、旅に、仕事に、街にと、様々なシーンで活躍する製品を生み出し続けるグッチ。幾度も挫折したからこそ、ブランドアイデンティティーを何度も振り返り原点に戻ることで、ブランドがより強固なものになったのです。ラグジュアリーは特権階級のものだけではなく、あらゆる階級の人が日常的に楽しめるものでなければいけない

【参考】
講談社『ザ・ハウス・オブ・グッチ』サラ・ゲイ・フォーデン著 実川元子訳
東洋経済『グッチの戦略』長沢伸也編著 福永輝彦・小山太郎・岩谷昌樹著
Daily Mail Online
NHK出版『グッチ家 失われたブランド』 中村雅人著

此花さくやプロフィール

此花

 「映画で美活する」映画美容ライター/MAMEW骨筋メイク(R)公認アドバイザー。洋画好きが高じて高3のときに渡米。1999年NYファッション工科大学(F.I.T)でファッションと関連業界の国際貿易とマーケティング学科を卒業。卒業後はシャネルや資生堂アメリカなどでメイク製品のマーケティングに携わる。2007年の出産を機にビジネス翻訳家・美容ライターとして活動開始。執筆実績に扶桑社「女子SPA!」「メディアジーン」「cafeglobe」、小学館「美レンジャー」、コンデナスト・ジャパン「VOGUE GIRL」など。海外セレブのファッション・メイク分析が生きがいで、映画のファッションやメイクHow Toを発信中!

 
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