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新感染 ファイナル・エクスプレス (2016):映画短評

新感染 ファイナル・エクスプレス (2016)

2017年9月1日公開 118分

新感染 ファイナル・エクスプレス
(C) 2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.4

清水 節

暴走ゾンビ列車に乗せて突っ走る、愛と絆と痛烈な社会批判。

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 完全無欠の<ウイルス感染パニック×ゾンビ襲撃ホラー×群衆逃走サバイバル>。それだけでは終わらない。迫り来る死を前にした極限下、エゴイスティックな人間どもの本能が露わになり、助かりたい一心で差別が発生する。醜くも悲しい地獄絵。さらに、例えば『ジョーズ』はカナヅチ男が海に挑むドラマでもあったが、ここでは、逃げ惑う中、利己的な父が変心し、子供との愛と絆を再確認するという劇的要素が山場を盛り上げる。そしてヨン・サンホ監督の批評的精神は、明らかに特急列車を資本主義社会のメタファーに見立てている。暴走するゾンビ列車は、急速に発展した社会の成長神話の終焉のようでもある。ゾンビ映画史に新たな1頁が加わった。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

スリルもゾンビ映画スピリットも文句なし!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 密閉空間を舞台にしたゾンビものはこれまでにもあったが、その記憶がかすむほどに面白い! 感染者からのサバイバルはスリリングだし、スピード感もあるし、ゴア描写も文句なし。

 巧いと思ったのは列車の特性が活きている点。途中下車の逸話では外の世界の感染悪化に絶望感をあおられ、車内へ逃げ戻る場面では手に汗握る。後ろと前にしか進めない車内通路の特性を活かした、直進するのみの家族救出劇の緊張感にも震えた。

 韓国映画らしく愛する者を守ろうとする“泣き”のドラマもあり。一方で、生存者の描写には人間の醜さも浮き彫りにされ、ロメロ作品に通じる風刺が見てとれる。怪優マ・ドンソクの大暴れにも燃えた。大満足!

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

世界が熱狂する韓流ゾンビ映画は噂にたがわぬ傑作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 世界中のホラー映画ファンを熱狂させている、話題の韓流ゾンビ映画がようやく日本公開。これがですね、噂にたがわぬ大傑作なのですよ。
 釜山行きの特急列車でゾンビ・パンデミックが発生。数多のゾンビ映画よろしく、極限状態の閉鎖空間における壮絶なサバイバルを通して、人間の醜くも愚かな本性が次々と露わになっていくわけだが、本作ではそこに縦社会や格差社会など韓国の根深い社会問題が生々しく投影され、清濁併せ呑んだ普遍的な人間性の本質が問われていく。
 もちろん、外の世界でもゾンビ感染が蔓延。危機また危機の息つかせぬ展開も見事だし、猛スピードで追いかけてくるゾンビの大群衆なんか思わず笑いが漏れるほどの迫力だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

しゅっぱつしんこう!「ゾンビ特急釜山行」

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

一瞬ギョッとするファーストカットから、ただならぬ雰囲気が漂い、途中下車できないまま、ひたすら突っ走る118分。『豚の王』『我は神なり』と、徹底して救いのない社会派アニメを作ってきたヨン・サンホ監督だが、今回はエンタメに振り切りながら、やはり底意地の悪さが見え隠れ。人間ドラマが肝となるゾンビ映画において、エゴを剥き出しにするバス会社常務(大堀こういち似)を始め、味のある濃ゆい乗客たちが観る者の感情を揺れ動かす。車両ごとに違った戦い方をする展開や、アニメ作家ならではの心地よいカット割など、ことごとく巧く、『28週後...』以来、ゾンビ映画史に刻まれるエポックメイキング的作品に仕上がったといえる。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

正攻法のゾンビ映画の面白さもたっぷり

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 疾走する急行列車という閉鎖空間にゾンビが出現したらーーーこの斬新な設定の面白さだけで十分に楽しめる。
 そのうえ、実はゾンビ映画として正攻法。日常の中にふと異物が侵入し増殖していく序盤の描写も、多様な人間たちの心理ドラマになっているのも、ゾンビ映画のお約束通りで、しかも巧い。小学生くらいの子供の心理が、丁寧に描かれているのも新鮮だ。
 加えて、インパクトのある"光景"が出現するのが魅力。とくに後半、新鮮かつ強烈な光景が、何度か出現する。これはヨン・サンホ監督が、アニメ映画監督出身であることと関係があるのではないか。ドラマだけでなく、視覚的な刺激が意識されている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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