原作の基本精神を鮮やかに蘇らせた古典文学の秀逸なアップデート

これは古典文学のアップデートとして素晴らしく秀逸。大胆な取捨選択や再構築を施しながらも原作の基本はそのままに、4人姉妹それぞれの人生の選択に女性の多様な可能性を肯定しつつ、そんな彼女たちが直面する様々な困難に今なお変わらぬ女性の生きづらさを投影していく。ルイーザ・メイ・オルコットの原作が持つ普遍的なフェミニズム精神を、瑞々しいタッチで鮮やかに再現したグレタ・ガーウィッグの演出が見事。キャスト陣もいずれ劣らぬ好演だが、中でもフローレンス・ビュー演じるエイミー像はこれまでの解釈とかなり違って非常に新鮮だ。オルコット女史がもしまだ生きていたら、きっと今回の映画版を誇りに思ったことだろう。