ふと感じられる微妙な違和感を映像面の演出で描く

2021年5月5日 平沢 薫 ファーザー ★★★★★ ★★★★★

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ファーザー

 認知症の主人公にとって世界はどのように見えるのか。それを描くに際して、アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマンら演技派俳優を揃えつつ、俳優たちの演技力だけに頼ることなく、映像表現の面で何が出来るのかに策を凝らした演出が見もの。
 主人公は、自分が暮らしている部屋の見慣れているはずの光景にふと違和感を覚える。いつもいる部屋が、なぜか見慣れないものになる。あの場所とこの場所の区別が、気づくと曖昧になっている。例えば人物を混同するといった大きな違和感とはまた別の、主人公が感じているそうした微妙な感覚が映像ならではの手法で表現されて、観客も主人公と同じ感覚を味わうことになるのだ。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「日経エンタテインメント!」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:今頃になって見始めたアニメシリーズ「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」、「ゴジラ」の再構築としても面白いが、それはさておいてもSFとして面白い。続きも見ないと。

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