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映画ひつじのショーン ~バック・トゥ・ザ・ホーム~ (2015):映画短評

映画ひつじのショーン ~バック・トゥ・ザ・ホーム~ (2015)

2015年7月4日公開 85分

映画ひつじのショーン ~バック・トゥ・ザ・ホーム~
(C) 2014 Aardman Animations Limited and Studiocanal S.A.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

ミルクマン斉藤

ショーンのB.キートン性全開。追っかけも興奮!

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

アードマン作品の中でも個人的に大好きなTVシリーズの映画版だが、今回改めて気づいたのは基本的にサイレント・コメディ的要素が極めて高いということ。主人公ショーンの造形にバスター・キートンのポーカー・フェイスが参考にされているというのも、この長編版でいっそう明確になった感がある。どんな窮地に立とうともクールなスタンスを決して崩さぬアホらしさ。特に長編もののキートン映画における、ナンセンスが増幅していくクレッシェンドの魅力が見事に活かされているという点で、現代では稀なスラプスティックの秀作だ。ここぞというシーンでキッド・クリオール&ザ・ココナッツやマッドネスが鳴るのも世代ってもんだね。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

言葉ではなく、目でみる、音で聴く、温かさ

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アードマン・ファンにとって文句ナシに楽しめるのは言うまでもないが、セリフが一切ない、すなわち言葉に頼らず映像で伝える作品という点でも評価すべき逸品。

 キャラクターがどう動けば愛嬌が出るか、どう動けば観客はドキドキできるか? それを踏まえたクレイ・アニメーションの、計算づくの美学に見とれた。もちろん小難しいことを考える必要はなく、サムズアップして笑うキャラを見ているだけでほのぼのとした気持ちになれる。

 個人的にはアイルランドのバンド、アッシュのフロントマン、ティム・ホイーラーによる牧歌的な主題歌も心地よく、チャーミングであったことを付け加えておきたい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

無声喜劇の魅力を継承するファミリー向けクレイ・アニメ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 奇しく(?)も未年の劇場公開となる初の長編映画版。記憶喪失で牧場へ戻れなくなった飼い主を探すため、ひつじのショーンと仲間たちが大都会へ出て奇想天外なアドベンチャーを繰り広げる。
 シンプルなストーリーにホノボノとしたユーモア。ショーンたちを捕まえようと執拗に狙う動物収容センター職員とのハラハラするイタチごっこや、ナンセンスなスラップスティック・ギャグがふんだんに盛り込まれ、全編セリフのないことを忘れさせてしまうくらい賑やかな仕上がりだ。
 一部でVFXも使われているようだが、それでもクレイ・アニメならではの手作りの温もりも健在。子供はもちろん、大人も童心に帰って楽しめる作品と言えよう。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

"手で触ったときの感じ"が伝わってくる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アードマン・アニメーションズの魅力は、素材感にあり。ストップモーション・アニメの人形たちを形成する多様な素材の「手で触ったときの感じ」が伝わってくる映像になっているのだ。目は硬いプラスチック、顔や手はそれより柔らかい粘土で、和菓子より少し密度が高そうだが、触ったら跡がつきそう。そして羊の頭部と胴体部はモフモフの毛糸。そんな質感が映像から伝わってきて、お気に入りの毛布にくるまるような心地よさを与えてくれる。笑いも、ゲラゲラ笑いではなく、クスクス笑い。そして、ブタたちが主人の留守にホームパーティするときにはプライマル・スクリームの曲で踊ったりして、ああ英国産だなあと痛感させてくれるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

祝!あのショーンが、ついに冠で長編だよ!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ウォレスとグルミット 危機一髪!』(95年)をいまだアードマンの最高傑作だと信じている筆者にとって、同作の脇キャラで初登場した子羊ショーンがここまで“出世”したことに感涙!

今回は初の劇場版ということで都会への大冒険が展開。言わば『スヌーピーの大冒険』(72年)の応用か? 台詞が一切なしという“サイレント”状態ながら、「牧場主の記憶喪失」という大ネタも入れ込み、85分の長編に巧く仕立てている。

お話としては日常の平穏に負荷をかける作劇を使っているので、単純に癒されるのは小ネタの方かも。いたずらブタの一匹がプライマル・スクリームの「ロックス」を大音量で流して踊ってるシーンは忘れ難いなあ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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