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アウトポスト (2020) 映画短評

2021年3月12日公開 123分

アウトポスト
(C) OUTPOST PRODUCTIONS, INC 2020

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

紛争地の日常と戦場の地獄を疑似体験する圧倒的リアリズム

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アフガニスタン紛争で最悪の激戦とも呼ばれた「カムデシュの戦い」を忠実に再現した実録戦争映画。文字通り戦場のど真ん中へ放り込まれたような臨場感溢れる後半のバトル・シーンも凄まじいが、常に死と隣り合わせで緊張感が絶えない兵士たちの殺伐とした日常を淡々と描く前半のリアリティもまた圧倒的で、神経をやられて頭がおかしくなってしまう若い兵士の心理が十分に理解できる。ニュー・イメージ/ミレニアム・フィルムズ=B級アクションという先入観を根底から覆す骨太な作品。クリント・イーストウッド2世にメル・ギブソン2世、ミック・ジャガー2世、リチャード・アッテンボロー3世の共演も興味深い。

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猿渡 由紀

演技はもちろん、テクニカル面でも卓越

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

近年の戦争映画の中でも最も優れた作品のひとつ。最初の部分でそれぞれのキャラクターをしっかり紹介しておくことで、誰かが死んだ時、その命の重みがより強く伝わる。死は、いつどこで訪れるのかわからない。そうやって緊張感を高めていき、後半の、45分ほどに及ぶ壮絶なバトルへと至るのである。そのバトルシーンは文字通り手に汗を握る迫力で、自分がその場にいるような臨場感にあふれる。最も心を揺さぶられるのは、自分が生きるか死ぬかの中でも戦友を救おうとする姿。ヒーローたちへ敬意を捧げるが、同時に、見終わった後、戦争の無意味さを感じ、やるせない気持ちにさせる。演技はもちろん、テクニカル面でも卓越した作品。

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山縣みどり

この前哨基地を作った人間は戦犯じゃないの?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

個人的に信頼するジャーナリスト、ジェイク・タッパーが執筆した実話小説の映画化で、最初から最後まで目が釘付け。タリバン兵流入を防ぐためにアフガニスタンに作った前哨基地の危険さは素人目にも明らかだし、敵の襲撃だけでなく政治的な思惑に翻弄される兵士の運命に胸が痛む。前半で状況や兵士の人となりを明らかにし、緊張感を高める構成もわかりやすい。後半は米陸軍史最悪の決戦の一つとなった「カムデシュの戦い」にたっぷり時間を割き、見ているだけで心拍数が上がる! 勇気の振り絞り方も恐怖の克服も兵士それぞれだし、怯える兵士の描写もリアルだ。プロパガンダ映画と思う人もいるだろうが、勇敢な兵士の壮絶なサバイバルだ。

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平沢 薫

降り注ぐ銃弾の中、人間は何を見て何を聞くのか

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 乾いた土地で、人間がふとした拍子に死んでいく。この前哨基地は谷底にあり、周囲の山から攻撃を受ければ、それを妨ぐ障害物は何もない。日々の中で、突然、山に隠れた敵の銃弾が降り注いでくる。その時、兵士たちは銃弾の中を駆け抜けて建物に入るしかなく、弾に当たる者と当たらない者を隔てるものは、ただの運。そこには、個人の持つ能力や技術を発揮するような余地はない。撃たれた仲間たちが叫び声をあげる。そうした場所にいるとき、人間は何を見て何を聞くのか、この映画はそれを体感させてくれる。
 元は実話。映画の後で実際の兵士たちの写真と年齢が映し出されると、21歳や22歳の兵も多く、その若さも痛烈だ。

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斉藤 博昭

過去の戦争アクションに比べても臨場体験は一級品。予想外の傑作

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

タリバンの攻撃に対峙する前哨基地(アウトポスト)のみに完全フォーカスした結果、限定空間による戦場での異様な空気感が醸造されていく。突発的事件のショック度も映画的とはいえハイレベルなうえ、戦闘シーンではカメラワーク、カット割りが最高の仕事を達成。『ブラックホーク・ダウン』を、最盛期のポール・グリーングラスが撮ったような、凄まじい臨場感だ。もちろん、悲劇にも目を逸らさない。

軍隊らしい過激な日常、危うい会話を適度に軽いノリで盛り込み、上官それぞれの予測不能の対応、現地の住民との複雑な関係といったドラマのバランスも上々。濃密になっていく兵士同士の関係には、想像力の余地を伴って心ざわめく感動が待つ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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