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オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体- (2022):映画短評

オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体- (2022)

2022年2月18日公開 128分

オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-
(C) Haversack Films Limited 2021

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.4

なかざわひでゆき

007ファンも必見?のスリリングな実録戦争ドラマ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 第二次世界大戦中のイギリス。ナチスに偽情報を流してミスリードするため、英国情報部が実行した極秘計画「ミンスミート作戦」の全貌が描かれる。ええっ!それって一か八か過ぎやしませんか⁉と驚くような内容なのだが、これが正真正銘の実話というのだから恐れ入る。面白いのは、作戦の発案者がイアン・フレミングだということ。MやQのモデルとなった人物も出てきてニヤリとするのだが、ナチスを騙して誘導するため「どれだけ尤もらしい嘘をつくか」に大人たちが知恵を出し合い、相手を信じ込ませるに十分な筋書きを作り上げていく過程は、まさに「優れた物語の作り方」といった感じで、それだけでもワクワクするような面白さがある。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

こんな作戦で戦争の行方が変わってしまうとは、ある意味びっくり

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

およそ80年前とはいえ、第二次世界大戦でドイツ軍を騙すために仕掛けた、この英国諜報部の作戦、はっきり言ってヒヤヒヤもの。何がなんでも戦況を変えようとする苦肉の策で、成功/失敗の瀬戸際感が作品のスリルをキープする。二重、三重の騙し合いも、この手の作品が好きな人にはたまらないスパイスに。
一方で、緊迫のスパイ戦と同時進行するのが主人公を中心とした人間関係ドラマ。しかも、ほのかなラブストーリーもあったりと、従来の戦時下スパイ映画とは明らかに違ったノリが新鮮だ。その主人公がコリン・ファースというのが絶妙で、同じスパイでも『キングスマン』とは真逆の頭脳勝負、心の弱さもみせる演技に俳優としての懐の深さが!

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

その奇策には「007」のクリエイターも参加していた

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

前代未聞の作戦を指揮した諜報部員が発表したノンフィクションをベースに映画化。時代を経て公開されたMI5の機密ファイルもあり、1956年製作のロナルド・ニーム監督作よりも、さらに作戦について深堀りし、“死体選び”の過程といったコミカル要素もプラス。さらに、その奇策の発案者が「007」のクリエイター、イアン・フレミングだった事実も発覚する。“お仕事映画”という意味では『イミテーション・ゲーム』を思い起こさせるが、あえて見せない演出も多く、想像以上に地味さを感じるのは否めない。諜報部員時代のフレミングをドミニク・クーパーが演じた、TVシリーズ「フレミング~007誕生秘話~」と見比べるのも一興。

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森 直人

戦争映画ならぬ、恋するストーリーテリング合戦!?

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

敵の裏をかくミンスミート作戦のドタバタ舞台裏喜劇風。当時の英国MI5には、のちに政府公認の回顧録(56年に映画化)を執筆する諜報員モンタギューと、チャムリー大尉、さらに『007』の作者となるイアン・フレミング少佐もいた(Mのモデルとなった提督も)!

彼らが架空の将校を創作するため「作家」モードに入っていくのが白眉。恋人パムになりきったジーンを巡る三角関係の淡い恋愛劇に展開する辺り、実にジョン・マッデン監督節。『恋におちたシェイクスピア』では、シェイクスピア青年の恋愛騒動が『十二夜』という作品になっていく。現実から物語が生まれ、物語にまた現実が影響を受ける。その連鎖の中で我々は生きているのだ。

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平沢 薫

トンデモ作戦の裏に、無数の地味な仕事あり

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 題名は、第二次世界大戦の英国諜報部の「ニセの文書を持った死体を拾わせてナチスを騙す」という作戦の名称。「敵も疑わないほどバカバカしい」という理由で実行される作戦だが、本作は作戦のトンデモさを描くのではなく、その背後にあった、使う死体を探すところから始まる地味で地道な無数の仕事をじっくり描くところが妙味。画面の色調は終始セピア系で、これが現代ではなく、人々が戦争に意義を見出していた時代の物語であることを強調する。もう一つの見どころは味のある英国男優たちの競演。コリン・ファースとマシュー・マクファディンの静かな友情に、ジェイソン・アイザックス、マーク・ゲイティスらが絡んで色々オイシイ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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