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魂のまなざし (2020):映画短評

魂のまなざし (2020)

2022年7月15日公開 122分

魂のまなざし
(C) Finland Cinematic

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

女性の自由を制限する家族制度の呪縛からの解放

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの中年期に焦点を当てた作品。田舎に隠遁して世間から忘れられた50代のヘレンが、個展の大成功によって再び注目され、年下の若い男性崇拝者と恋に落ちる。今や世界有数のジェンダー平等先進国であるフィンランドだが、本作の舞台となる20世紀初頭はバリバリの家父長制社会で、「女の財産は男のもの」が当たり前だったというのは驚き。そんな中、男尊女卑に染まりきった母親や兄に自由を奪われたヘレンが、運命の恋を経てようやく家族の呪縛を断ち切り、精神的に逞しく自立していく姿が描かれる。フィンランドの大自然やヘルシンキの街並みを鮮やかに捉えた端正な映像美がまた素晴らしい!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

天然素材の白い布の清潔さ、粗い手触り

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 すべてのシーンが静物画のように静かで美しい。抑えた彩度、落ち着いた色調、ヒロインが着る天然素材の白い衣服の清潔さ、粗い手触りの感覚が、全編を貫く。狭義のリアリズムとは関係なく主人公の精神を描くので、貧しい生活の中でも彼女の衣服が常に瀟洒で彼女に似合う。実在の画家がモデルだが、偉人伝ではなく、女性の権利を主張する映画でもなく、主人公を感情に翻弄されもすれば親族と衝突もする、ひとりの人間として描く。

 主人公が、失意の底で病に伏せっている時、ふと近くの一輪挿しの花を見て、注ぐ光が花を際立たせるよう花瓶の位置を動かす。その瞬間、自分が回復期に向かったことを知る。そんな繊細な描写に溢れている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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