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少女は卒業しない (2023):映画短評

少女は卒業しない (2023)

2023年2月23日公開 120分

少女は卒業しない
(C) 朝井リョウ/集英社・2023 映画「少女は卒業しない」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

ごく普通の高校生たちの平凡だけど特別な青春の1ページ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 とある高校卒業式の前日と当日の2日間を舞台に、別れの季節を迎えた少女たちの揺れ動く心情が綴られる。昨今の邦画青春物によくあるマンガ的な誇張を排した、どこまでもナチュラルで飾らない中川駿監督の演出がとても新鮮。ごくごく普通の高校生たちによる、平凡だけど特別な青春の1ページがなんとも愛おしい。アイドル的な若手人気スターを使わなかったのも良いし、キャスト陣の自然体な芝居にも大変な説得力がある。卒業したくないけれど卒業しなくてはならない。喜びも悲しみもひっくるめた3年間の思い出を胸に、新たな世界へ旅立とうとする彼女たち。ああ、自分も高校卒業するの嫌だったなあ…と、30年以上前の感情がふと甦った。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

誰もが体験した“あの時、あの瞬間”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

一見、青春映画にありがちなエピソードが綴られているだけのように見えるが、主要キャラを7人から4人に絞り、時系列を並列に組み直した原作からの脚色の巧さが絶妙。河合優実による答辞シーンなど、一発撮りの緊張感が映像として映し出され、中川駿監督が注目された短編『カランコエの花』とは違った意味で刺さりまくる。4人のメインキャストはもちろん、妙に津田寛治化した藤原季節の教諭もいいが、ここでもやっぱり佐藤緋美が美味しいとこ取り。また、主人公たちの親友までも魅力的に描かれていることもあり、『桐島、部活やめるってよ』同様、多くのプロデューサーがキャスティングの参考にする姿が見える一本でもある。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

青春という世界の終わり

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

中、短編作品で絶妙な心の機微を描き続けてきた中川駿監督の待望の商業長編デビュー作。中川監督は大きな話題を呼んだ短編作品『カランコエの花』同様、青春時代の等身大の瑞々しさを巧みに切り取りました。河合優実を筆頭に揃った若手キャストは演技と自然な反応の狭間を行き来しているようでした。中川監督が巧く引き出した部分もあるのでしょうが、いい表情を見せてくれます。監督と演者のおかげで誰もが確かに過ごしてきた青春時代という瑞々しい世界の終わりを思い出させてくれました。

この短評にはネタバレを含んでいます
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