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ドラキュラ/デメテル号最期の航海 (2023):映画短評

ドラキュラ/デメテル号最期の航海 (2023)

2023年9月8日公開 119分

ドラキュラ/デメテル号最期の航海
(C) 2023 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

くれい響

『エイリアン』オマージュな密室劇が展開

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『透明人間』のヒットを受けて始動したカリン・クサマ監督によるドラキュラ企画が頓挫するなか、なかなかのアイデアで勝負! 導入部こそ『タイタニック』ぽいが、『エイリアン』『遊星からの物体X』などのオマージュが随所に見られ、『ジェーン・ドウの解剖』のアンドレ・ウーヴレダル監督らしい密室劇が楽しめる。さらに、『ノスフェラトゥ』な吸血鬼の造形など、ゴシックホラーのツボをしっかり押さえているあたり、「『ヴァチカンのエクソシスト』の次はこれだ!」と言いたくなるが、オトナたちに混じって『カモンカモン』の天才少年、ウディ・ノーマンが活躍……とはいかない展開やユーモア要素がないのは悔やまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

小さな原作内の逸話から、ガチホラー爆誕!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ブラム・ストーカーの原作「ドラキュラ」に、ほんのちょっと記されているだけのエピソード。イマジネーションを広げ、それを描いた製作陣の想像力に、まず拍手。

 当然怖い映画なのだが、製作陣は恐怖を喚起させる装置として『エイリアン』のノストロモ号内の殺りくをヒントにしたという。なるほど、宇宙船ならぬ輸送船で、ひとりまたひとりと消えていく不気味さ。それを支える、陰影とフラッシュライトが交錯した映像の作り込みも素晴らしい。

 『ノスフェラトゥ』オマージュのドラキュラのビジュアルを含め、本気で怖がらせようとする心意気に感服。ホラー好きとしては、嬉しいかぎりだ。

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猿渡 由紀

ギレルモ・デル・トロが興味を示していた作品

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

誰も乗っていない難破船が到着するところから映画が始まるので、みんな死ぬのだなということは、最初からわかっている。だから、どう死ぬのかがポイントなのだが、残念にもあまり怖くないのだ(しかも、R指定にすることをスタジオから許可されたのに)。CGも使ったそれらのシーンは、そこそこ驚かせはするものの、新鮮さも、精神的に迫り来るものもない。正直、「あと何人残っているんだっけ」と数えてしまいそうになった。もともとはギレルモ・デル・トロが興味を持っていたのだが、スケジュールの都合で彼が才能を認めるアンドレ・ウーヴレダルを推薦したとのこと。デル・トロだったら違う映画になっていたのだろうか。

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なかざわひでゆき

「吸血鬼ドラキュラ」の映画化として着眼点が斬新!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』において、ドラキュラ伯爵の棺をルーマニアからイギリスまで運んだ貨物船デメテル号。乗組員はひとり残らず姿を消し、無残な難破船として英国沖に漂着したわけだが、その間に一体何が起きたのか?ストーカー原作の映画化は数多いが、しかしこの部分だけにフォーカスした作品は珍しい。これはアイディア賞ものである。原作の限られた記述に独自の解釈と肉付けを施したセミ・オリジナル的ストーリー。時代考証の徹底されたセリフや美術、なによりも奇を衒わない恐怖演出のおかげで、ゴシック文学の香り漂う厳かな怪奇譚に仕上がっている。ムルナウ版『吸血鬼ノスフェラトゥ』への目くばせも嬉しい。

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平沢 薫

原作小説の空白部分を描く大胆な試み

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 設定が興味をそそる。舞台は、ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』で描かれた、ドラキュラをロンドンに運んだ船、デメテル号。小説には無人で漂着したこの船で何が起きたのかは書かれていないが、それを描くという大胆な試みが本作。結末が決まっている以上、意外性のある物語が展開するのかと思ったら、どうやら『スケアリー・ストーリーズ 怖い本』のアンドレ・ウーヴレダル監督の興味は、物語よりも恐怖演出の方にあったようだ。出演陣は充実。船長役は「ゲーム・オブ・スローンズ」のダヴォスことリーアム・カニンガム。ポルカドットマンことデヴィッド・ダストマルチャンが、彼には珍しくマッチョな、一等航海士役で出演。

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