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リアリティ (2023):映画短評

リアリティ (2023)

2023年11月18日公開 82分

リアリティ
(C) 2022 Mickey and Mina LLC. All Rights Reserved.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

相馬 学

あなたは90分後に逮捕されます

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 FBIの90分程度の公式音声記録のみで、サスペンス映画一本分のセリフが成立してしまう。これは奇跡というべきか。

 国家機密を漏洩した罪に問われた25歳の女性の事件は米国では有名。筆者はFBIの尋問を追体験するようにして見た。当局の要請には協力的に応じる。一方で、何が罪に問われたのか不安を覚える。そんな主人公の感情へのフォーカスは、観客を当事者として巻き込むかのようだ。

 民間人がひとり逮捕されるまでの過程をとらえながらも、その客観的な視点ゆえ、彼女の行動が過ちであったと断じないのも味。トランプ強権発動時代の、アメリカの暗い影も見えてくる。多角度から味わいたい逸品。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

82分間の尋問の音声記録をそのまま映像化

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 謎解きサスペンスの緊迫感をたっぷり味わうために、できるだけ本作の内容を知らない状態で見るのがオススメ。

 ある25歳の女性の自宅の前に、突然、FBI捜査官の身分証明証を見せる男たちが現れ、彼女を尋問する。実際のその尋問の82分間の音声記録を、そのまま映像化したのが本作。男たちは何をしようとしているのか。観客は、記録映像のような画面を見ながら、尋問される彼女の視点に立ち、事態を理解しようとしていくことになる。そして、少しずつ驚くべき事実が判明していく。

 彼女の名前は「リアリティ」。事件を報じるニュースも描かれて、リアリティとは何かについても考えさせられる。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

見終わった後も考えさせる超リアルなスリラー

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

FBI捜査官の尋問音声記録をそのまませりふにしたこの映画は、最初から最後までリアル。「捜査状は取ってある」「捜査状を見たい?」と何度も言うのも、実際の会話がそうだったのだ。突然やって来たふたり組みの捜査官は決して威嚇的ではないが、彼らとカジュアルな会話をしている間にも別の捜査員が複数やってきて家宅捜査を始める。ここで起きていることから逃れられないのだと気づいていく彼女の心理を表情で見せていくシドニー・スウィーニーの演技は見事としか言いようがない。時々挟み込まれる実際の音声、本人のインスタグラムや電話の声も効果的。大きな問いかけをするこのスリラーは、見終わった後、いつまでも考えさせる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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