シンパシー・フォー・ザ・デビル (2023):映画短評
シンパシー・フォー・ザ・デビル (2023)
自覚的な狂気はニコケイの“お家芸”だと改めて証明
自虐ネタでもあった『マッシブ・タレント』について「不安もあった」と本音を吐露したニコラス・ケイジだが、同作の成功による自信がここに充満。過去の“やりすぎ”演技もセルフパロディにして、狂気の男を余裕で、しかも制御ナシでこなすその姿に、ニコケイファンは歓喜の震えが収まらないはず。キャリアの集大成のごとく繰り出される、顔芸の数々も見もの。プロデューサーも兼任していることから、自らの判断で暴走してる様子が微笑ましい。
ターゲットにされる側の絶望と恐怖がぐんぐん上昇する意味で、巻き込まれ型スリラーの王道。被害者と加害者のボーダーが消えていく流れも、このジャンルらしいが、逆に想定内に収まったとも言える。
この短評にはネタバレを含んでいます