クスノキの番人:映画短評
ライター2人の平均評価: 3.5
大人が観るアニメとしての新しい可能性を示した
東野圭吾原作のアニメ化。「実写でいいのでは?」という懸念を払拭する出来栄えだった。そもそも原作のスピリチュアル要素とアニメ表現の相性がいい。登場人物の感情の変化をタッチの変化で見せる試みも成功している。高橋文哉、天海祐希、大沢たかおら主演陣の演技も見事だった。実は途中まで少しストーリー展開にモヤモヤしていたのだが、ラストにかけての畳み掛けでうまく回収していた。「老いと認知症」というもう一つのテーマにも果敢に挑んでいる。金持ちの係累を持たない者はどうすればいいのかという疑問は残ったが、アニメを観続けてこなかった大人世代が観るアニメとして新たな可能性を切り開いたのではないか。
「愚かですね」が口癖の伯母がカッコイイ
主要登場人物の一人、柳澤千舟がカッコイイ。主人公の母親のかなり年上の異母姉で、高齢で白髪。パンツスーツを着用し、動きも機敏。大企業の経営陣の一員であり、かつてはクスノキの番人だった。自分の意思が明確で、自身の弱点も知っていて、過去に後悔もある。口癖は「愚かですね」。そんな人物に、天海祐希の声がよく似合う。
映像のコンセプトは一点突破志向で、主人公とクスノキのクライマックスのシーンを際立たせるために、あえてそれ以外の映像は主張を抑えた演出なのではないか。そのうえで場所によって映像のタッチが変わり、クスノキのある夜の森と、人々が日々生活している昼の街は、別世界として描かれている。





















