シャッフル・フライデー (2025):映画短評
ライター5人の平均評価: 3.6
『ハロウィン』に次ぐ、3世代バトルが展開!
「入れ替わりコメディの元祖」のリメイクの続編……と書くと、一見さんお断りな雰囲気も漂うが、根底にあるのは「あの頃の」ディズニー・チャンネル魂。ティーン層を中心に、老若男女が楽しめるファミリーコメディでありつつ、ジェイミー・リー・カーティス好きとしては『ハロウィン』に次ぐ、3世代バトルものとしても楽しめる。もちろん、リンジー・ローハン復活劇も喜ばしいことであり、リンダ・リンダズを始めとするサントラやレコ屋でのジャケット物まねなど、小ネタも満載。まさに前作超えの面白さであり、『俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル2』には及ばないものの、かなり求めていた続編の降臨である。
3世代入れ替わりもポップに調理!
『フリーキー・フライデー』を元ネタとする2003年の『フォーチュン・クッキー』は、母娘の入れ替わりをポップに描いた風通しの良い娯楽作だったが、その続編はドラマを複雑化しつつ、より気持ちよく弾ける。
3世代・2組・4人の入れ替わり展開はややこしいものの、若年・壮年・老年の本音がコミカルかつリアルに浮かび上がり、簡略版の年齢パノラマを織りなす。ディズニー作品らしいスムーズな進行も味。
主要キャスト4人には、それぞれに笑いと人間味の見せ場があり、いずれもチャーミング。ティーガン&サラによるデヴィッド・ボウイカバー「レベル・レベル」をはじめとする、ポップソングの響きも軽やかさを演出する。
(特に)ジェイミー・リー・カーティス最高!
ディズニーチャンネルの世界観全開のLAで三世代の女性が大騒ぎ。『フリーキー・フライデー』(76年)のリメイク『フォーチュン・クッキー』(03年)からの続編だが、「見た目(肉体)はシニア、中身はティーン」の荒技に挑んだJ・L・カーティスが『エブエブ』超えの爆演! 面白すぎて新たな代表作と言いたいほど。
ママ世代のリンジー・ローハンも一周回ったY2K流行りとマッチ。主要4人を巡るアンサンブルが隅々まで楽しい。ガナトラ監督の世代性が窺える『フェリスはある朝突然に』(86年)オマージュや、シャーデーやマドンナ等々の顔ジャケお面など小ネタもナイス。尻尾=エンドロールまで多幸感がぎっしり詰まった好篇。
入れ替わりが4人なので、細かいことを気にせずに…
同キャストの母娘が入れ替わる前作が22年前で、それ自体も1970年代の映画のリメイク。その間、「心と体が入れ替わる」多くの作品が派生し、今回の“2組同時”は新鮮さ狙い。その分ややこしくなるも、あえて余計なことを考えさせないように、ギャグ満載、キャストたちの振り切れた演技で「勢い」で楽しませる。(いい意味で)ここまで能天気に笑える映画も久しぶりかも。
親世代の仕事の悩みとリスペクト、祖母世代の肉体の衰え、また逆パターンでの若さが戻った感動…とジェネレーションギャップのネタは想定内ゆえ安心感も増長。
80年代の青春ムービー数作へのオマージュは素直に面白いけど、そこに頼るハリウッドの懐古趣味も痛感。
「親の子に対する愛」のテーマがより強まった
1作目同様、スラップスティックな笑いに満ち、優しい精神が貫かれた。親の結婚、音楽の要素、ストーリーの流れ、L.A.の街がたっぷり登場するところも共通。ノスタルジアに頼るところは大きく、決して冒険はしていないが、「親のわが子に対する愛」というテーマが強まっているのはたしか。そこは、私生活でリンジー・ローハンが母になった今、しっくりくる。前回は母と娘だけだったのが、今回は孫とそのクラスメートが加わり、4人が入れ替わるせいで、途中、誰が誰なのか、やや混乱しがち。中心になるのは世代の違う女性たちながら、男性も思いやりがあり、愛する女性をサポートするキャラクターとして描かれているのはナイスだ。
























