ヴィヴァルディと私 (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 4
まるで往年のゼフィレッリ作品を彷彿とさせる少女の成長譚
時は18世紀初頭、舞台はヴェネツィアに実在したピエタ養育院。その重要な資金源である付属楽団のバイオリニストの少女と、指導者として赴任してきた作曲家ヴィヴァルディの交流を描く。親の都合で養育院に預けられて孤児として育ち、その養育院の都合で音楽家として教育されたうえ、寄付金と引き換えに結婚相手まで勝手に決められた少女。ただでさえ女性に決定権などない時代にあって、他人の選択に黙って従ってきた奥ゆかしいヒロインが、ヴィヴァルディの指導によって音楽の歓びに目覚め、やがて自分の人生を自分で選ぶ自由を求めるようになる。まるで往年のフランコ・ゼフィレッリを彷彿とさせる、瑞々しくもクラシカルで美しい映画だ。
自由のない世界で夢のために闘う若い女性の物語
「四季」でお馴染みの作曲家ヴィヴァルディの人生は、かなり意外だった。そこも非常に興味深いのだが、この映画の主人公は架空の若い女性チェチリア。音楽の才能に恵まれていても、結婚をしたら諦めなくてはならない。そして、結婚するにふさわしいと(自分よりずっと年上の)男たちに認められるためには、処女であることが絶対条件。そんな中で自分の目的のために行動するチェチリアの姿は元気を与えてくれる。監督も原作者も男性ながら、フェミニストのアンダートーンはしっかり。ふたりともこの物語の舞台のヴェネツィア出身でもある。ヴィヴァルディ作品のほか、10曲以上の書き下ろし音楽もあり、耳にもとても心地よい。




















