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DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ (2025):映画短評

2026年6月12日公開 118分

DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ
(C) 2025 DIE MY LOVE, LLC.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

猿渡 由紀

あちこちに行く主人公の感情を生々しく追う

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

エイミー・アダムス主演の「ナイトビッチ」、今年のオスカーにローズ・バーンが候補入りした「If I Had Legs I’d Kick You」に続き、子育てする母の苦悩を、実際に出産育児経験のある主演女優と女性監督がリアルに語る作品。産後うつに焦点を当てる今作はとりわけ暗く、重い。明確なストーリーはなく、絶望、母性愛、狂気、空虚感などあちこちに行く主人公の感情を、生々しく追っていく。そんなキャラクターに体当たりするジェニファー・ローレンスはさすが。好感を持てるとは言いがたくても、なぜ彼女がそうなったのかという説得力は十分。それだけに観る側は応援するのだが…。結末をどう受け止めるかはそれぞれか。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

『ベティ・ブルー』も思い出す、自暴自棄の激情の愛に恍惚…

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

精神面で追い詰められ、それでも愛に執着するあまり狂気の行動に出る主人公は、映画的だが圧倒的に感情しづらい。とにかく、やることが過激すぎて正視に耐えない。ここまでの自暴自棄に引いてしまうか、逆に羨ましいと感じるかが、好き/嫌いの分かれ目となるが、本作は、あの『ベティ・ブルー』以来の後者。レアな体験に。
わずかな共感をもたらすのも、ジェニファー・ローレンスが巧みに演じたからで、何度もオスカーに絡んだせいか本作でノミネート逃したのは信じがたい。冷静にジャッジすれば明らかにオスカー候補レベル。ロバート・パティンソンも、激しい性描写も含め、攻めを忘れない作品選びに今回も感心。
時系列のズラし方も効果大。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

ローレンス×ラムジーが互いの獰猛さを増幅し合った傑作

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

燃える森の幻視と共に、リン・ラムジーの作家性が研ぎ澄まされる。『少年は残酷な弓を射る』の母エバと問題児ケヴィンを一つの身体に宿したかの様な主人公グレース。静かな田舎で「母」「妻」の規範に心身を軋ませながら、獣の如き覚醒に向かう。ポランスキーを思わせる神経症的な主観世界が、現実と妄想の境界を溶かしていく。

爆発の中心にいるのがジェニファー・ローレンスだ。『世界にひとつのプレイブック』や『マザー!』で見せた制御不能な生命力が、ラムジーの文脈と噛み合い、身体感覚ごと物語を駆動させる。音楽が心象に寄り添うのもラムジーらしく、ジョイ・ディヴィジョンのカヴァーに至る流れは、愛と破壊の両義性を鮮烈に刻む。

この短評にはネタバレを含んでいます
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