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2025年 第38回東京国際映画祭コンペティション部門15作品紹介

第38回東京国際映画祭

第38回東京国際映画祭ポスター
第38回東京国際映画祭ポスター -(C)Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.

 38回目を迎える2025年の東京国際映画祭は、10月27日(月)から11月5日(水)の10日間、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催! 東京グランプリを競うコンペティション部門をはじめ、さまざまな部門にわけられた183本の映画が上映される。コンペティション部門は、108の国と地域から応募された1,970本の中から選ばれた、見ごたえのある15本がお披露目される。(文:岩永めぐみ)

『アトロピア』

アトロピア

製作国:アメリカ
監督:ヘイリー・ゲイツ
キャスト:アリア・ショウカットカラム・ターナークロエ・セヴィニー

【ストーリー】
アメリカ軍が軍事演習のために作り上げた架空の国アトロピア。女優のフェイルーズはそこでの仕事を誇りに思いながらも、ハリウッドでの輝かしいキャリアへの足掛かりに過ぎないと考えていた。しかし、突然の恋によって彼女の運命が一変する。

【ここに注目】
新たな才能を発掘することに定評のあるサンダンス映画祭で、最高賞にあたる審査員賞(ドラマ部門)を受賞した風刺ドラマ。アメリカ軍が没入型訓練のために作り上げた仮想国が舞台となっている。監督はモデルや女優として活動しながら、ショートフィルムを手掛けてきたヘイリー・ゲイツ。主人公のフェイルーズをドラマシリーズ「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」などのアリア・ショウカットが演じ、カラム・ターナーやクロエ・セヴィニーらが共演している。

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『金髪』

製作国:日本
監督:坂下雄一郎
キャスト:岩田剛典白鳥玉季門脇麦

【ストーリー】
中学校の教師・市川が担任するクラスの生徒たちが髪を金色に染め、「金髪デモ」を決行する。その同じ日、私生活では恋人に結婚の話を切り出される。金髪デモは文部科学省を巻き込んだ大騒動へと発展し、一方で恋人に厳しく説教されて混乱した市川は、金髪デモの主導者・板緑と手を組んである作戦を敢行する。

【ここに注目】
大人になりきれていない中学校教師に起きる騒動を通して、不条理な校則やブラックな教育現場、暴走するSNSやネットメディアといった現代の問題に着目したドラマ。『決戦は日曜日』などの坂下雄一郎が監督を務め、三代目 J SOUL BROTHERS のメンバーで『名も無き世界のエンドロール』などの岩田剛典が情けない中学教師を演じる。共演は『流浪の月』などの白鳥玉季のほか、門脇麦、山田真歩田村健太郎内田慈など。

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『恒星の向こう側』

製作国:日本
監督:中川龍太郎
キャスト:福地桃子河瀬直美寛一郎朝倉あき南沙良

【ストーリー】
母の余命を知り帰郷した娘・未知は、拒絶する母・可那子と衝突を重ね、亡き親友への想いに揺れる夫にも不安を募らせる。やがて、母の遺したテープから隠された「もうひとつの愛」を知ったことで、未知は初めて母を深く理解し、その愛を胸に新たな人生を歩み始める。

【ここに注目】
モスクワ国際映画祭コンペティション部門で国際映画批評家連盟賞などを受賞した『四月の永い夢』や、東京フィルメックス観客賞の『静かな雨』などの中川龍太郎監督によるヒューマンドラマ。母と娘、そして夫婦の葛藤と、喪失、再生を経てたどり着く愛について描く。娘を『あの娘は知らない』などの福地桃子、夫を『せかいのおきく』などの寛一郎、そして母を『殯(もがり)の森』などの監督である河瀬直美が演じている。

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『ポンペイのゴーレム』

ポンペイのゴーレム

製作国:フランス
監督:アモス・ギタイ
キャスト:イレーヌ・ジャコブローラン・ナウリミナス・カラワニー

【ストーリー】
ユダヤ教の伝承に由来する人形「ゴーレム」をテーマに、創造と破壊の関係を現代的に探究していく。

【ここに注目】
カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された『ケドマ 戦禍の起源』などで国際的にも評価の高い、イスラエルを代表する監督アモス・ギタイの新作は、自身が演出した舞台の記録にフィクションシーンを織り交ぜた作品。ユネスコの世界遺産に登録されているイタリア・ポンペイの古代劇場で催されたステージを収録した。アイザック・バシェヴィス・シンガーヴァージニア・ウルフの著作に着想を得て作りあげられた物語で、複数の人種、複数の言語で演じられた。

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『裏か表か?』

製作国:イタリア、アメリカ
監督:アレッシオ・リゴ・デ・リーギマッテオ・ゾッピス
キャスト:ナディア・テレスキウィッツアレッサンドロ・ボルギジョン・C・ライリー

【ストーリー】
19世紀末のイタリアに、アメリカからバッファロー・ビル率いる「ワイルド・ウェスト・ショー」の興行がやってくる。アメリカのカウボーイとのロデオ対決に勝利した地元の牛飼い・サンティーノと恋に落ちたローザは、地主との不幸な結婚生活を捨てて、彼と共に逃亡する。

【ここに注目】
カンヌ国際映画祭のある視点部門で上映された逃走劇。監督はカンヌ国際映画祭監督週間に選ばれた『ザ・テイル・オブ・キング・クラブ(英題) / The Tale of King Crab』で注目されたアレッシオ・リゴ・デ・リーギとマッテオ・ゾッピスのコンビで、本作について「イタリアを舞台にしたウェスタンスタイルのバラード、アンチ・ウェスタンを作りたかった」と説明している。ローザにふんする『ロザリー』のナディア・テレスキウィッツをはじめ、アレッサンドロ・ボルギ、ジョン・C・ライリーと国際的なキャストが揃った。

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『雌鶏』

製作国:ギリシャ、ドイツ、ハンガリー
監督:パールフィ・ジョルジ
キャスト:ヤニス・コキアスメノスマリア・ディアコパナヨトゥアルギリス・パンダザラス

【ストーリー】
養鶏場から逃げ出した一羽のニワトリが、崩壊寸前のレストランの中庭にたどり着く。そこでニワトリは愛を探し出し、序列に抵抗し、強欲な店主から卵を守るために闘う。

【ここに注目】
『ハックル』『タクシデルミア ある剥製師の遺言』などのハンガリーの鬼才パールフィ・ジョルジ監督が、ニワトリを主人公に据えた寓話的なドラマ。作品のコンセプトは、ハリウッドスタイルのハッピーエンドを目指すニワトリの物語と、伝統的なギリシャ悲劇に則った人間の物語という、二重の物語を展開させることだったという。トロント国際映画祭のプラットフォーム部門で佳作を受賞した。

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『マリア・ヴィトリア』

製作国:ポルトガル
監督:マリオ・パトロシニオ
キャスト:マリアナ・カルドーゾミゲル・ボルジェスミゲル・ヌネス

【ストーリー】
ポルトガルの田舎でサッカーの少年ユースチームに入っているマリア・ヴィトリアは、父親の厳しい指導の下、プロになることを夢見て特訓を重ねていた。しかし、火事で母親を亡くした後に家を出ていた兄ブルーノの帰還によって家族の関係が揺らぎはじめる。

【ここに注目】
短編やドキュメンタリーを手掛けてきたポルトガルのマリオ・パトロシニオ監督によるドラマは、主人公の若い女性が父親の重圧や過去の心の傷を乗り越える姿を通して、喪失や愛、再生などについて描いた物語。パトロシニオ監督は幼少期に2年間、日本で暮らして日本の学校で学んだことがあり、そのころに監督と脚本家としての将来のビジョンが固まったと話している。

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『死のキッチン』

死のキッチン

製作国:タイ
監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン
キャスト:ベラ・ブンセーンクリット・シープームセートノパチャイ・チャイヤナーム

【ストーリー】
タイのバンコクにあるレストランでシェフとして働くサオは、過去に彼女を精神的にも肉体的にも傷つけた男性と再会する。腕利きの料理人でもあるサオは、復讐のために腕を振るう。

【ここに注目】
地球で最後のふたり』や『インビジブル・ウェーブ』で浅野忠信と組んだことで日本でも知られるタイのペンエーグ・ラッタナルアーンがメガホンを取り、料理人の女性が料理の腕を駆使して復讐劇を繰り広げるサイコスリラー。これら2作の撮影を手掛けたクリストファー・ドイルが今作でも撮影監督として参加し、浅野忠信も出演する。

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『マザー』

製作国:ベルギー、北マケドニア
監督:テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ
キャスト:ノオミ・ラパスシルヴィア・フークスニコラ・リスタノフスキ

【ストーリー】
1948年8月、インド・カルカッタ。ロレト修道会を後にしたマザー・テレサは、新しい修道会の設立許可が下りるのを待っていた。しかし、ある出来事によりジレンマに直面し、人生の大きなターニングポイントを迎える。

【ここに注目】
マザー・テレサが「神の愛の宣教者会」を創立する少し前の、人生における極めて重要な1週間を、マザー・テレサと同じ北マケドニア・スコピエ地方出身のテオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督が描いたドラマ。ミテフスカ監督は『ペトルーニャに祝福を』がベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出され、エキュメニカル審査員賞などを受賞した。また、マザー・テレサをパンクの象徴にしたいと思っていたと語り、マザー・テレサ役には『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』シリーズなどのノオミ・ラパスを抜てきした。

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『母なる大地』

母なる大地

製作国:マレーシア
監督:チョン・キット・アン
キャスト:ファン・ビンビンナタリー・スールイ・スタラース バイ・ルンイン

【ストーリー】
1990年代後半、政情不安のマレーシア。農民であり呪術師でもある、夫に先立たれた女性ホン・イムは、多民族が暮らす農村で家族を守るために奮闘していた。植民地時代の紛争が再燃する中、奇妙な出来事が次々と起こる。

【ここに注目】
『幼な子のためのパヴァーヌ』が2024年の東京国際映画祭アジアの未来部門で上映された、中華系マレーシア人監督チョン・キット・アンの幻想的なドラマ。『ソフィーの復讐』や『X-MEN』シリーズなど、中国のみならずハリウッドでも活躍するファン・ビンビンが、これまでのイメージとは異なる主人公を演じている。本作は台湾の映画賞「金馬奨」で作品賞、監督賞、主演女優賞などにノミネートされている。

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『春の木』

製作国:中国
監督:チャン・リュル
キャスト:バイ・バイハーワン・チュアンジュンリウ・タン

【ストーリー】
一度も日の目を見ることができずに四川省に帰郷した女優が、方言を話せなくなっていたことに気づき、自らに戸惑いながらも新しい生き方を模索する。

【ここに注目】
カンヌ国際映画祭批評家週間でACID賞を受賞した『キムチを売る女』や、ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映された『白塔の光』、日本を舞台にした『柳川』『福岡』などのチャン・リュル監督によるドラマ。出演は『モンスター・ハント』シリーズなどのバイ・バイハーや『舟に乗って逝く』などのリウ・タンなど。

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『パレスチナ36』

製作国:パレスチナ、イギリス、フランス、デンマーク
監督:アンマリー・ジャシル
キャスト:ヒアーム・アッバースヤスミン・アル=マスリーロバート・アラマヨ

【ストーリー】
1936年、イギリス委任統治下のパレスチナ。植民地支配への反乱が各地で起こる中、ユスフは混乱の先に訪れる未来を待ち望んでいた。しかし、ヨーロッパからユダヤ人移民が大挙して押し寄せ、あらゆる勢力による衝突へと発展していく。

【ここに注目】
1936年から1939年にかけて起きたパレスチナ独立戦争を、『ワジブ(原題) / Wajib』『ウェン・アイ・ソー・ユー(英題) / When I Saw You』などで国際的に評価されているパレスチナ人女性監督アンマリー・ジャシルが描いた社会派ドラマ。2023年10月以来、イスラエルによるパレスチナへの攻撃が続く中で何度も制作の中断を余儀なくされながら、2025年までの2年間にパレスチナ国内で撮影された唯一の長編映画となったという。『ガザの美容室』などのヒアム・アッバスなどが出演している。

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『虚空への説教』

製作国:アゼルバイジャン、メキシコ、トルコ
監督:ヒラル・バイダロフ
キャスト:フセイン・ナシロフマリヤム・ナギエヴァラナ・アスガロワ

【ストーリー】
世界の終わりが近づく中、シャー・イスマイルは命の水を求めて冒険の旅へと乗り出す。

【ここに注目】
東京国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞した『クレーン・ランタン』や、東京フィルメックス最優秀作品賞の『死ぬ間際』など、日本の映画祭にもなじみの深いアゼルバイジャンのヒラル・バイダロフ監督の実験的作品。本作は東京国際映画祭で上映された『鳥たちへの説教』を含む「説教三部作」の最終章で、ベネチア国際映画祭でアウト・オブ・コンペティション作品として上映された。

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『飛行家』

飛行家

製作国:中国
監督:ポンフェイ
キャスト:ジャン・チーミンリー・シュエチンドン・バオシー

【ストーリー】
20世紀末の中国東北地方。労働者のリー・ミンチーは父親の果たせなかった空を飛ぶという夢を抱いていたが、時代の変遷とともに、その情熱は浮き沈みしていた。しかし、ある出来事をきっかけに、彼は自ら考案した飛行装置で空へと舞い上がる。

【ここに注目】
ベネチア国際映画祭の審査員大賞を受賞したツァイ・ミンリャン監督作『郊遊<ピクニック>』の共同脚本や、『再会の奈良』などのポンフェイ監督によるドラマ。主人公をドラマ「ロング・シーズン 長く遠い殺人」などのジアン・チーミンが演じる。原作は、『ゴッドスレイヤー 神殺しの剣』『平原のモーセ』などが映画化されているシュアン・シュエタオの短編小説。ポンフェイ監督は小説について「中国版『フォレスト・ガンプ/一期一会』」と表現しており、オマージュ的な演出にも注目したい。

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『私たちは森の果実』

製作国:カンボジア、フランス
監督:リティ・パニュ

【ストーリー】
カンボジア北部の山岳地帯。原始的な生活様式を守りながら暮らす少数民族を、4年間にわたって記録する。

【ここに注目】
カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリを受賞した『消えた画(え) クメール・ルージュの真実』やベルリン国際映画祭銀熊賞(芸術貢献賞)を獲得した『すべては大丈夫』など、主にドキュメンタリーを手掛けてきたリティ・パニュ監督の新作。その生活の様子を通して、自然との共生などさまざまなテーマを浮かび上がらせる。

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