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麦子さんと (2013):映画短評

麦子さんと (2013)

2013年12月21日公開 95分

麦子さんと
(C) 『麦子さんと』製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

中山 治美

仲、恵令奈に続き、堀北真希も攻略

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『純喫茶磯辺』の仲里依紗、『さんかく』の小野恵令奈と女の子を描くことに定評のある吉田恵輔監督。これまでは新人だったが、堀北真希をも手中に収めるとは、演出力の高さを実証したと言えるだろう。そこにはスタイリストや芸達者な俳優陣の力もあるが、可笑しくも愛おしい吉田ワールドに巻き込んでいる
 その分、脚本はいつもの吉田作品より角もなく、母子の愛憎劇は既視感を呼び覚ます。麦子が亡き母への憎悪を、母と同じ境遇の女性にぶつける展開はいささか強引だ。だがそれも、堀北の可愛さで大目に見てしまいそう。何はともあれ、一定の品質をキープし続けている職業監督の存在は、今の日本映画界の大きな希望。でも、今のままで。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

間違いなく堀北真希の代表作

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

 前作『ばしゃ馬さんとビッグマウス』に比べれば、恐ろしいぐらいに毒っ気なく、ストレートに泣ける映画…のようにみえる。だが、今回吉田恵輔が観客にブチまけた毒は、母親に対する“罪悪感”。つまり、あまりに身近なテーマだったことで、万人受けの感動作に仕上がってしまったのである。
 よく見れば、単に趣味でしかない美少女アニメを挿入したり、前半と後半で舞台とキャラを分割するシナリオスクールで叩かれそうな構成にしたりと、意図的に無謀な試みに挑んでいるのが分かる。そして、前作で関ジャニ・安田に注がれた監督の優しい眼差し。今回は堀北真希に120%注がれ、間違いなく彼女の代表作を作り上げたといえる。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

プライドと赦しのせめぎ合いに迫る、愛すべき成長劇

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の記憶も新しいうちに新作を放つ吉田恵輔監督の精力的な姿勢はもちろんだが、それ以上にクオリティが落ちない点に恐れ入る。

 自分を捨てた母に対するヒロインの複雑な心情に映画は寄り添う。 “自尊心”と“赦し”がせめぎ合う主人公の胸の内に迫り、見ているこちらの心情にシンクロさせる巧さに唸らされた。人間の未成熟な部分を愛情とユーモア、リアリティをもって描ける、日本では稀有な才能と言ってよいのではないだろうか。

 影のあるまなざしが活きた堀北真希の好演も光る逸品。「赤いスイートピー」の叙情に気持ちをつかまれるのは昭和生まれの観客の特権!? 

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

あまロスを埋めるかもしれない梅ちゃん先生の主演作

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

傑作『ばしゃ馬さんとビッグマウス』に続く吉田恵輔の監督作だが、こちらも素晴らしい出来。アニメ声優の夢をめざす女子という「自己実現」のモチーフは前作と共通しつつ、本軸は母と娘の絆を描いた親子もの。

松田聖子の「赤いスイートピー」が美しく使われ、東京と地方、現在と80年代をアイドルというキーワードでつなぐ作劇は『あまちゃん』に近い。実際、NHK朝ドラばりのウェルメイドな感動作で、これまでロリコンやストーカーなどダメ恋愛系を得意とした吉田が正統派の実力を証明する一本だ。

同時に堀北真希の“素材力”=萌え性も見事に引き出されている。もし彼女本人の歌唱が聴けたら問答無用の領域に突き抜けたかも。

この短評にはネタバレを含んでいます
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