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ほんとうのピノッキオ (2019):映画短評

ほんとうのピノッキオ (2019)

2021年11月5日公開 124分

ほんとうのピノッキオ
copyright 2019 (C) ARCHIMEDE SRL - LE PACTE SAS

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

美しくも幻想的で残酷なピノッキオの物語

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ディズニー・アニメでもお馴染みの『ピノッキオの冒険』の映画化だが、なにしろ監督は『五日物語―3つの王国と3人の女―』のマッテオ・ガローネなので一筋縄ではいかない。あくまでも原作の物語に忠実な本作では、純粋であるがゆえに無知で大胆で軽率な人形の少年ピノッキオが、間違った選択や愚かな判断を繰り返すことで次々と悲惨な目に遭いつつ、それらの試練を乗り越えながら賢く逞しく成長していく。ちょっぴり残酷で辛口なダーク・ファンタジー。まるで19世紀の絵画がそのまま動き出したような映像はため息が出るほど幻想的で美しく、グロテスクなくらいリアルなコオロギやカタツムリのおばさんなどの動物キャラもどこか微笑ましい。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

リアルタイプ『劇画ピノッキオ』の凄味!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ゴモラ』『ドッグマン』のマッテオ・ガローネ監督なので期待値は高かったが、想定超えの素晴らしさ。アプローチは『五日物語』に近い。ディズニーの可愛いアニメ版に対し、闇金的な詐欺話も含む「ほんとう」Ver.。イタリアの風土や文化に根差しつつ、リアリズムやドキュメンタリズムに幻想味を混ぜる手法が絶妙に活きている。

ネオレアリズモの伝統を受け継ぎ、デ・シーカ『靴みがき』のごとき貧困の風景が審美的な寓話性と接続されるデザインワークは圧巻。もちろん「教養小説」的にも、「人造人間」的なフランケンシュタイン~A.I.路線でも読める。かつてピノッキオを演じたロベルト・ベニーニも今回のジェペット爺さんこそ適役!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

まさにヨーロッパの幻想絵画の世界

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 色調も美術も構図も、まさにヨーロッパの幻想絵画。鳥の頭部と人間の身体を持ち、上流階級の衣装を着た生き物たち。人間の顔を持つ魚。夜の暗い海、雲間からのぞく満月が、波におぼろな光を落とす。監督は、17世紀のおとぎ話を映像化したダークファンタジー映画『五日物語 -3つの王国と3人の女-』のマッテオ・ガローネ。衣装、プロダクション・デザイン、アート・ディレクション、セット・デコレーションも同作のスタッフなので、映像はあの映画と同じ暗い幻想美に満ちている。このスタッフが、もしも南欧イタリアの児童文学ではなく、ヨーロッパ北部の暗い森で熟成された禍々しいおとぎ話を映画化したら。そんな想像をしてしまう。

この短評にはネタバレを含んでいます
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