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パラレル・マザーズ (2021):映画短評

パラレル・マザーズ (2021)

2022年11月3日公開 123分

パラレル・マザーズ
(C) Remotamente Films AIE & El Deseo DASLU

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

なかざわひでゆき

アルモドバルらしい変化球的な女性ドラマ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 同じ病院で同じ日に女児を出産した40歳手前のジャニスと17歳のアナ。共にシングルマザーの2人は年齢差に関係なく意気投合するが、ある時ジャニスは娘が実の子でないことに気付く。いわゆる赤ん坊の取り違えを題材にしたメロドラマだが、しかしペドロ・アルモドバル作品だけにありきたりな展開とはならない。今もなおタブー視されているスペイン内戦の暗い歴史、若くて生活力のないアナに親代わりとして生きる術を身につけさせるジャニス。幾つものサブプロットを絡ませながら、時代を超えて受け継がれてきた女たちの記憶を紡ぎ、責任ある大人が次世代に何を伝えていくべきかを問う。アルモドバルらしい変化球的な女性ドラマだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

メロドラマに終わらせないという監督の野心

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

同じ日に同じ病院で出産したふたりの女性が主人公という設定は、メロドラマとして魅力的。対照的なこのふたりのキャラクターは、女性を描くのが上手いアルモドバルらしく、とてもしっかりと築かれている。おかげで波乱万丈のストーリーにどっぷりと思い入れをしたのに、最後は気になることが説明されないまま、物足りなく終わってしまった。今作に政治的メッセージも入れたいという野心をアルモドバルが持っているのは最初のほうから明らかだったが、そちらを優先するがあまりにもう一方が犠牲にされた感じ。しかし、ペネロペ・クルスはアルモドバル作品に出ている時に最も光るという事実はこれでまた確認された。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

ペネロペ・クルスが魂レベルで揺さぶってくる瞬間が

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

アルモドバル監督が好んで扱う、母と子供というテーマだが、その部分でここまで複雑に、なおかつ深く心を抉ってきたのは傑作『オール・アバウト・マイ・マザー』以来という印象。同じ日に出産した2人の母の運命が、やがて切実な状況でひとつになる瞬間、痛々しくも、優しく、さまざまな感情の嵐で観ているこちらを巻き込んでしまう。とくに年長の母親を演じたペネロペ・クルスが真実に感づくシーン、その人間の業(ごう)の表現に、彼女のキャリアの集大成すら感じてしまった。
スペイン内戦に関するエピソードに監督のこだわりが感じられつつ、その分量や挿入箇所にやや違和感も残るが、本筋だけでも強力なパワーで心が引っ張られる感覚。

この短評にはネタバレを含んでいます
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