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銀河鉄道の父 (2023):映画短評

銀河鉄道の父 (2023)

2023年5月5日公開 128分

銀河鉄道の父
(C) 2022「銀河鉄道の父」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

ミルクマン斉藤

もっと芯を衝く賢治伝が見たかった。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

宮沢賢治役に菅田将暉、父親役に役所広司という鉄壁のキャスト。しかしタイトルにやや反し、結局のところ既視感のある賢治伝に終始した感が強い。しかも新たな見解があまり示されないのも物足りなく、もっと父親の視点に振り切って、謎な息子を描く方向性だったら面白くなっただろうに。とは言え、心の赴くままに自分の見解をコロコロ変え、やがて日蓮の教えにハマるところなど、菅田の狂気の演技には魅了されるのだが、早世した妹に対する思いがその後の彼にどう影響を与えたのか今ひとつ描き切れていないのは中途半端だし、あれだけ賢治の生き方に反発を覚えていた父親が、いつの間にか親バカになってしまうように見えるのもどうなのか。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

父と子の情愛を描いた素直に感動できる良作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 宮沢賢治の短い生涯を、父親・政次郎の視点から描く。この親子を主人公にした伝記映画は過去にもあったが、本作ではなにかと神格化されがちな賢治を恵まれた家庭の迷えるダメ息子、非常に厳格な人物だったとされる政次郎を不器用だが愛情に溢れる父親と解釈し、お互いに人生の価値観も世界を見る視点も異なる2人が、激しい衝突を繰り返しながらも相手を理解することで、父と子の揺るぎない信頼と絆を育んでいく姿を描く。泥臭くて人間味のある人物描写や活き活きとした方言のセリフ、宮沢賢治作品の世界を彷彿とさせる柔らかな映像、そして役所広司と菅田将暉の感情表現豊かな芝居が相まって、素直に感動できる良作に仕上がっている。

この短評にはネタバレを含んでいます
大山くまお

こういう父に私はなりたい

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

宮沢賢治の最大の理解者が妹・トシだったとすれば、最大の応援団は父・政次郎ということなのだろう。自分探しで迷走してトンチキなことばかりしている賢治をいつも気にかけ、時にはぶつかりながら、何があっても子どもを一生かけて応援するのが父親の役割。息子を溺愛する一方、堅実な実業家として成功し、人格者として地元・花巻で慕われた政次郎を役所広司が人情味たっぷりに演じる。クライマックスはベタだけど泣けたよ。「永訣の朝」など宮沢賢治の名場面もてんこもりなので、ファミリーで観ても楽しめるはず。賢治役の菅田将暉はもちろん好演だが、森七菜演じたトシはちょっとカリスマ性さえ感じさせた。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

偉人伝ではない宮沢家の物語

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

宮沢賢治と父・政次郎の関係性に迫った作品といえば、緒形直人と渡哲也の『わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語』を思い出すが、本作では厳格な頑固オヤジのイメージが強い政次郎の姿をユーモアたっぷりに描写。とはいえ、軸となる宮沢家と病魔との闘いはしっかり描かれ、史実と異なる終盤の展開もドラマチックな仕上がりになっている。役所広司と菅田将暉の共演は見どころだが、ボケてしまった祖父役の田中泯に向かって「きれいに死ね」と諭す長女・トシ役の森七菜が健闘。ただ、成島出監督が得意とする長回し撮影がときに空回りし、エンドロールに流れる主題歌がそれまでの余韻を壊してしまうこともあり、★マイナス。

この短評にはネタバレを含んでいます
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