アシスタント (2019) 映画短評

セクハラを許した社内の様子を淡々とリアルに描く
「17歳の瞳に映る世界」「プロミシング・ヤング・ウーマン」の1年前に北米公開された、もうひとつの優れた「#MeToo」映画。ワインスタインを思わせる大物の映画会社のアシスタントの1日を追いつつ、みんながボスのセクハラを知りながら隠蔽している状況を見せていく。勇気を持って声を上げても「君の代わりは山ほどいる」と脅されるだけ。事実、彼女に与えられた仕事は誰にでもできるような雑用。リスペクトはなく、就業時間は長い。憧れの会社に入れた後の現実はこうなのだ。ドキュメンタリー出身の監督は、多数のアシスタントに取材をした上で脚本を書いたそう。音楽を入れず、冷静かつリアルに描いていくのが余計に胸に迫る。
この短評にはネタバレを含んでいます