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星くずの片隅で (2022):映画短評

星くずの片隅で (2022)

2023年7月14日公開 115分

星くずの片隅で
(C) mm2 Studios Hong Kong

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 5

ミルクマン斉藤

どっこい生きてる愛すべき香港庶民。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

コロナ禍香港の吹けば飛ぶよな庶民(原題でもあり、大阪アジアン映画祭題はまさに『窄路微塵』)を描いた映画として記憶されるであろう傑作。清掃業を営む中年男(ルイス・チョン)と姉妹にしか見えないシングルマザー(なぜか吉岡里帆の面影を感じさせるアンジェラ・ユン)とその娘との交流が、閉塞的なあの時期の空気の中で活き活きと描かれる。民主化デモ下で焦燥し絶望した若者たちを描いた『少年たちの時代革命』の新星ラム・サム監督は、引き続き現在の変わりゆく香港の街の姿を捉え、風潮にひとり抗ってもいるようだ。ただ、アンジェラが日本語を頻繁に使うコスプレイヤーだということが中盤忘れられがちなのがいささか惜しいけど。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

王道的ドラマの完成度と、時代・社会を鋭く見る眼の両立

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

二宮健監督によるVaundyの名曲「Tokimeki」MVも最高だったアンジェラ・ユンと、「香港のキムタク」とも呼ばれるルイス・チョン。このスターキャストで社会派的強度のある傑作ヒューマンドラマを作ってしまう処に、新しい香港映画の質的な沸騰を感じる。監督は『少年たちの時代革命』で共同監督を務めた新鋭ラム・サムで、ある種その続編的ニュアンスも濃い。

是枝裕和からの影響は実際大きいようだが、さらに近いのはS・ベイカーの『フロリダ・プロジェクト』。都市の裏側で様々な階層にアクセスする清掃業という設定も秀逸。コロナ禍で苛烈さを増した“持たざる者”の生き難さの中、小さな互助の光をそっと映し出す。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

コロナ禍、こころが繋がる瞬間

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

コロナ禍の香港を描きつつ、SARSのときにも大きな役割を果たした清掃業に焦点を当てたことで、よりリアリティが増したハートフルな人間ドラマ。『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の影響も見えつつ、根底にあるのは香港映画が得意とするこころの繋がり。『忘れえぬ想い』『激戦ハート・オブ・ファイト』などを思い起こさせる中年男とシングルマザーとの関係性など、香港映画好きにはグッとくるシチュエーションも多く見られる。繁華街ではない土瓜湾というロケーション選びもさすがのラム・サム監督だが、演技派とは言い難かった2人の主演の新たな魅力を引き出すなど、『少年たちの時代革命』より遥かに洗練された演出も見どころ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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