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エリザベート1878 (2022):映画短評

エリザベート1878 (2022)

2023年8月25日公開 114分

エリザベート1878
(C) 2022 FILM AG - SAMSA FILM - KOMPLIZEN FILM - KAZAK PRODUCTIONS - ORF FILM / FERNSEH-ABKOMMEN - ZDF / ARTE - ARTE FRANCE CINEMA

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

森 直人

時代のキーパーソンとしてのV・クリープス

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

まずは「ヴィッキー・クリープスの映画」。企画の発端も彼女からで、自分のリアリティと重ね合わせるように伝説のアイコンを神話解体した。やはりクリープスと同い年でもあるグレタ・ガーウィグの『バービー』と重なる要素が多く、ルッキズムやエイジング、ミッドライフ・クライシスなど問題意識はほぼ同じと言っていい。

エリザベート像はヴィスコンティの『ルードウィヒ』やコクトーの『双頭の鷲』寄りだが、映画の作り方はS・コッポラの『マリー・アントワネット』に近い。ストーンズというよりマリアンヌ・フェイスフルの曲としての「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」を使用するなど現代的に再構築。パンキッシュな皇妃を爆誕させた。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

『バービー』と併せて見るのもヨシ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 かつてロミー・シュナイダーも当たり役にしたオーストリア皇后エリザベート。ヨーロッパの王族でも随一の美女と誉れ高かった人だが、本作では40歳を迎えて中年に差しかかった彼女が、いつまでも若く美しくいることを期待され、常に完璧であることを求められる宮廷生活に辟易し、ひとりの人間として自分らしく自由でありたいと願うようになる。基本は虚実入り交じったフィクションだが、しかし根っからの自由人だったと言われるエリザベートだけに、同じような葛藤は抱えていたかもしれない。映画のスタイルやテイストは大きく違うものの、しかしテーマ的に共通するものがある『バービー』と併せて鑑賞するもヨシ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

史実にとらわれずモダンな視点から見つめる

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

19世紀、最も美しい女性と崇められ、美を保つための細かい日課を欠かさなかったと言われるオーストリア皇妃エリザベート。ジャンル的には伝記映画とは言え、女性監督マリー・クロイツァーは事実に忠実であることにとらわれず、モダンでフェミニスト的な視点から彼女を見つめる。40歳の誕生日を迎え、歳を取ったと感じている彼女。高い地位にいながらも重要なことを決める権限は何もない。内面に募っていくフラストレーションと反抗心を、ヴィッキー・クリープスが、時にユーモラスに、また微妙なニュアンスを持って表現する。どちらが悲劇的かはわからないものの事実とは違うラストも、音楽のセレクトも、この映画の精神にふさわしい。

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平沢 薫

大胆な演出で、ひとりの女性の心理を描く

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 美術も衣装も徹底的に格調高い歴史映画仕様で、主人公エリザベートの心理描写のみが現代の視点から描かれる。そして、その時々の彼女の心理に寄り添う形で、現代のポップソングが流れる。この演出によって、歴史的人物の心情が現代の観客と接点を持つ。

 主人公は40歳になり、自分がいつのまにか"周囲が見たい自分"であらねばならないような気にさせられていたことに気づき、それを拒否し、その状況を打破したいと思うが、どうすればいいか分からない。

 そんなヒロインを演じるヴィッキー・クリープスが、『ファントム・スレッド』とも『ベルイマン島にて』ともまるで違う顔で、女優としての凄さを見せつける。

この短評にはネタバレを含んでいます
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