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ティル (2022):映画短評

ティル (2022)

2023年12月15日公開 130分

ティル
(C) 2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

社会に蔓延る理不尽や不正義を他人事にしてはいけない

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ジム・クロウ法がまだ健在だった1955年。米南部の深刻な人種差別を知らずに育った14歳の黒人少年エメット・ティルが、休暇で地元シカゴからミシシッピの親戚のもとを訪れたところ、白人女性に向かって「口笛を吹いた」というだけの理由で惨殺されてしまう。公民権運動の発端のひとつとなった実在の事件を、本作は被害者の母親メイミーの視点から描く。自分と自分の家族さえ幸せならそれでいい。そう考えて人種差別問題から目を背けていた彼女は、息子の死という最悪の事態に見舞われて初めて、公民権運動の重要性に目覚める。差別の醜さや恐ろしさは勿論のこと、なぜ社会の理不尽に対して声をあげねばならないのかを考えさせる力作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

風化させてはならない史実を伝え続けるということ

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 2022年に米国で制定されたエメット・ティル反リンチ法に名を刻む、人種差別の犠牲者の母親にスポットを当てた物語。

 屈託のない笑顔を母メイミーの記憶に残したまま、息子エメットは世を去った。その悲痛さに加え、息子の命を奪われたメイミーの折れない信念をたどる。決して笑わない彼女のクローズアップは、映像の、ひいては映画の重みそのものだ。

 人種問題を題材にした社会派ドラマは公民権運動が活発化して以来、延々と作られ続けてきたし、ヘイトクライムがなくならない限り今後も作られるだろう。こんな映画を作る必要のない、理想の世界は訪れるのだろうか? しっかり受け止めるべき力作。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

一人でも多くの人の目に触れて欲しい映画

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

昨年、アメリカで成立した”エメット・ティル反リンチ法”にも名前を採られている1955年の人種差別を基にした殺人事件の顛末を描いた逸品。1955年の出来事ではありますが、取り扱っているテーマはBLM(=ブラック・ライブズ・マター)運動を引き合いに出すまでもなく、アメリカでは現在進行形で非常に今日的なものです。ただ、公民権運動の発端となったともいえるこの事件は日本ではまだまだ知られていない事柄でもあります。そういう意味でもできるだけ多くの人に見られて欲しい映画です。プロデューサーも兼任した祖母役のウーピー・ゴールドバーグの深く重い表情が印象的です。

この短評にはネタバレを含んでいます
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