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WEAPONS/ウェポンズ (2025):映画短評

2025年11月28日公開 128分

WEAPONS/ウェポンズ
(C) 2025 Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

なかざわひでゆき

観客に想像と解釈の余地を残した知的な都市伝説ホラー

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 同じ小学校の同じクラスに学ぶ少年少女17名が一斉に姿を消す事件が発生。監視ビデオによると、子供たちは深夜の同じ時間に家から飛び出し、腕を広げて全速力で走りながら闇夜に消えていった。なぜ彼らは真夜中に目を覚まし、いったいどこへ行ったのか?疑惑の目を向けられた担任教師やクラスで独りだけ残った少年、消えた子供の保護者など、関係者それぞれの視点から多角的に謎の真相へと迫っていく。都市伝説風のプロットはスティーヴン・キングの『IT』的であり、その複雑な語り口は『藪の中』的。細部の細部まで徹底的に計算しつつ、しかしあえてみなまで語るのを避けることで、観客に想像と解釈の余地を残した脚本は極めて知的だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

超優秀な現代ホラー映画の見本

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

凄まじい跳躍力と完成度。『バーバリアン』で非凡な実力と独創性を見せつけたザック・クレッガー監督が完全覚醒した快作だ。登場人物の主観ごとにチャプターを分けた群像劇は『羅生門』~『パルプ・フィクション』形式を受け継ぎつつも定石を避け、むしろ『マグノリア』の応用なのも技アリ。

メイブルックという架空の町設定、『シャイニング』原作から戴いた数字「2:17」などS・キングに負うものは多く、銃乱射事件や「ナパーム弾の少女」など社会派要素も散見されるが、決して深刻になりすぎず、笑いのブレンドが抜群でシャマランの怪傑作『ヴィジット』にも接近する。G・ハリスンの「ビウェア・オブ・ダークネス」を始め選曲も秀逸!

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

クレッガーはこのジャンルの新たな才能だと改めて証明

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 先の予想がつかない、非常によく考えられた脚本。違った登場人物に順番に焦点を当てつつ、モザイク式にストーリーを語っていく中で、観客は最初に感じたのとは違うことを発見していく。そもそも、タイトルの意味がわかるのも、かなり経ってから。できるだけ予備知識のないまま見にいくことをおすすめ。
 前作「バーバリアン」でもキャスティングからして観客の予想を裏切ってみせたザック・クレッガーは、ホラー/スリラーのジャンルにおいて、今最も注目のフィルムメーカーであることを改めて証明してみせた。キャストはみんなすばらしいが、とりわけエイミー・マディガンには、賞レースにからむのではという声すら上がっている。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

それを「どう描くか」で魅了する

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

「何が起きたのか」ではなく「起きたことをどう描くか」。その出来事の「描き方」「語り方」の巧みさで魅了する。

 出来事は、複数の登場人物の視点から語られて、そのたびに新たな手がかりが見つかり、観客はそれを元に謎解きをしながら、映画を見ていくことになる。それと並行して、登場人物たちの意外な側面も次々に見えてくる。ビジュアル面のアイデアも秀逸。子供たちが夜、両手を体側でまっすぐ伸ばして走る。VFXではなく、人間が演じるその情景だけで、異常事態を出現させる。

『バーバリアン』ではヒネリ技で観客を魅了したザック・クレッガー監督が、その技をさらにその先へと進化させている。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

スティーブン・キングな設定から伊藤潤二な展開へ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

前作『バーバリアン』でのミスリーディングやストーリーの転がし方が見事だったザック・クレッガー監督による、小学生17人失踪事件の真相。いろんな意味でダメダメな主要キャラの視点で語られていく構成の中、キティ・グリーン監督作でおなじみのジュリア・ガーナー演じる担任教師の追い込まれていく様が面白い。とはいえ、いかにもスティーブン・キングな設定からコミカルさを増し、伊藤潤二な展開にシフトチェンジしていく流れに関して、ちょっと引っ張りすぎなのは否めない。御年75歳、『ザ・ハント』以上に暴れまくるエイミー・マディガンに加え、突然訪れる阿鼻叫喚なクライマックスに、★おまけ。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

この結末は読めない

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

ワーナーブラザースジャパン最後の配給洋画が思いもよらない一本になりました。北米でのサプライズヒットを受けて日本でも緊急公開ということになったのですが、こんな作品が大きな締めになるとは…。突然ある一人を残して同じクラスの子供が深夜に姿を消すという壮大な謎を最初に提示、これを巡って大人たちがあれやこれやと行動するわけですが、文字通り藁をつかむような状況で…。見ている側も同じ目線になって事件を追うのですが、この結末は読めない。予告編や宣伝を見ただけでここに辿り着ける人はいないでしょう。面白いですがR-18指定なのでそこはご注意を。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

できるだけ前情報を遮断して観てほしい、クオリティ高き怪作

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

17人の小学生が突然、失踪するという基本設定だけで、可能な限り真っさらな気持ちで向き合えば、怖さ/面白さの真髄を心から味わえる。ネタバレどうこうではなく、未体験の時間、その喜びに浸るタイプの作品。
全体にはスティーヴン・キングの世界を彷彿とさせつつ、関わる人物のさまざまな視点から事件の核心が見えてくる構成が、ひじょうに巧妙。使用曲・音響といった「音」の効果も考え抜かれている。ショッキングすぎて笑ってしまう…という演出は時として「あざとく」なるものだが、本作はそのあたりも上品にアプローチ。
内容的には不穏な怪作も、映画の構造が上質なので、ワーナーが賞レースに積極的アプローチしたくなるのもわかる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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